11月28日、賃貸物件開発と分譲マンション企画・販売のモリモト 【東証2部:8899】が、東京地裁へ民事再生法の適用を申請し受理されたと発表しました。
いわゆる倒産です。負債は約1615億円です。
これを受け、東京証券取引所は12月29日付でモリモト株を上場廃止にすると発表しました。
以下、帝国データバンクのウェブサイトからの抜粋です。
マンション分譲
東証2部上場
株式会社モリモト
民事再生法の適用を申請
負債1615億2000万円TDB企業コード:986985492
「東京」 (株)モリモト(資本金57億7176万9460円、渋谷区恵比寿南3-7-4、代表森本浩義氏、従業員324名)は、11月28日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。
~~~中略~~~
債権債務および営業基盤など、旧・モリモトを全面的に引き継いでおり、毎期1000~1500戸のマンション分譲を展開、ファミリータイプの「クレッセント」、高級ブランドの「ディアナガーデン」などのほか、賃貸不動産開発事業として住居系の「イプセ」シリーズや住宅、オフィス、商業施設を融合させた「クイズ」シリーズを手がけるなど積極的に展開、2003年3月期に約690億5700万円だった年売上高は2008年3月期には約1150億5800万円にまで伸長していた。
しかし、昨年後半以降の不動産市況の大幅な悪化に伴い、今期の第1四半期連結ベースでは経常損失を余儀なくされるなど業績の悪化が顕在化。
秋口には約定弁済の資金確保が厳しい状況を余儀なくされていたうえ、中間決算においても下方修正を明らかにしていたが、11月14日には予定していた中間決算発表を延期。動向が注目されていたが監査法人の監査意見も受けることが出来なくなったことで今回の措置となった。
さて、私は上場企業が倒産すると、必ず会社四季報を見ることにしています。「会社四季報で倒産した企業のページを見ること」を何回も繰り返していくうちに、どういった財務内容の企業が危ないのか感覚的に判ってくるからです。
四季報でモリモトの2008年3月期の決算を見るに、モリモトは総資産2286億円に対して、自己資本(株主持分)が440億円しかない点が目に付きます。また、有利子負債が1478億円と大き目の数値になっています。そして、営業キャッシュフローが161億円のマイナスとなっています。
2007年3月期の営業キャッシュフローも368億円のマイナスだったので倒産しても仕方がないと言えば仕方がないのですが、正直、四季報を見ただけでは私にはそこまで悪い財務状況には思えませんでした。
最近、倒産したダイナシティやディックスクロキなどの不動産関連企業は、倒産して当然と思える財務状況になっていましたが、モリモトの財務状況はそれらの会社に比べればマシなものです。モリモトの倒産を事前に予測するのは、四季報を読むだけでは、なかなか難しかったと思われます。
今年は、金融不安の影響で銀行が不動産関連企業の財務に厳しい目を向けているので、財務状況がムチャクチャ悪くなくても倒産する不動産関連企業が多数出てきています。
そんな年に不動産関連企業であるモリモトを上場させた主幹事証券会社の大和SMBCと、上場を許可した東証に憤りを覚えている個人投資家もいることでしょう。
モリモトは2008年2月27日に上場したのですが、2008年12月29日付けで上場廃止となります。これは私の記憶では、上場期間の最短記録となります。
なお、今年倒産した上場企業は、下記の31社です。年間の上場企業の倒産数では戦後最多であった2002年の29件を抜き、最多となっています。
今年の上場企業倒産のうち、不動産業と建設業関連の倒産は23社と7割を超えています。しかも9月以降の3カ月間だけで、上場不動産・建設の倒産は14社に達しています。
倒産理由では、資金繰りの行き詰まりが目立ち、不動産関連企業は金融危機の深刻化の影響を強く受けています。
- グレース ※
- レイコフ ※
- ニイウスコー
- アリサカ
- トスコ
- スルガコーポレーション ※
- 真柄建設 ※
- エー・エス・アイ(株) (旧・(株)アスキーソリューションズ
- キョーエイ産業 ※
- ゼファー ※
- 三平建設※
- アーバンコーポレーション※
- 創建ホームズ※
- トランスデジタル
- Human21※
- リプラス※
- ジェネシス・テクノロジー
- シーズクリエイト※
- プロデュース
- ランドコム※
- エルクリエイト※
- 新井組※
- ニューシティ・レジデンス投資法人※
- 富士バイオメディックス
- 井上工業※
- 山崎建設※
- ノエル※
- ダイナシティ※
- ディックスクロキ※
- オリエンタル白石※
- モリモト※
※をつけた会社は不動産関連企業or建設関連企業です。
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