3月20日、不動産ファンドを運営するレイコフ 【ヘラクレス:8941】が大阪地裁へ民事再生手法の適用を申請し、同日受理されました。いわゆる倒産です。
大阪証券取引所は3月21日、同社株式を整理銘柄に移しました。4月21日付で上場廃止となります。
そのため、本日、レイコフの株価は前日比-3,000円 (-13.95%)の終値18,500円と急落しました。ストップ安です。
・参考リンク 帝国データバンク 純粋持ち株会社
大証ヘラクレス上場
株式会社レイコフなど3社
民事再生法の適用を申請
負債426億2900万円
ところで、私は上場企業が倒産すると、必ず会社四季報を見ることにしています。「会社四季報で倒産した企業のページを見ること」を何回も繰り返していくうちに、どういった財務内容の企業が危ないのか感覚的に判ってくるからです。
ただ、今回のグレースの倒産を事前に見抜くのは、四季報の最新号を見るだけでは難しかったと思います。四季報最新号でレイコフの悪い部分がすぐに目に付いたのは、2007年8月期の営業キャッシュフローが-71億円と大幅にマイナスな点です。しかし、2007年8月期の数字だけ見ていたのでは、倒産することがわからないと思います。
2007年8月期だけでなく、過去5年の営業キャッシュフローを見てみると、レイコフの経営状態の脆弱さが見えてきます↓
レイコフ社の営業キャッシュフロー | |
2007年8月期 | -71億円 |
2006年8月期 | -74億円 |
2005年8月期 | -18億円 |
2004年8月期 | -12億円 |
2003年8月期 | +4億円 |
表を見ればわかりますが、直近の4年間において本業で現金が出ていっています。これが倒産を避ける一つ目のヒントです。
そして、二つ目のヒントは、今年2月8日にレイコフが発表した「行使価格修正条項付新株予約権(MSワラント)の発行」です。このMSワラントの発行は、事実上のMSCBの発行と言っていいものでした。
このMSワラントの発行が成立すれば手元の運転資金は増えるものの、発行株式数が大幅に増え一株あたりの価値が希薄化するので、株価が下落するのは目に見えていました。台所事情が苦しいことが推察される資金調達方法です。
そして、レイコフはこのMSワラント発行による資金調達にも失敗してしまいました。この資金調達失敗が倒産の兆候としては最大のヒントでした。
2008年2月27日、レイコフはMSワラントの発行が延期になったことを発表しました。MSワラントを引き受けるはずだったルネッサンスダンテという会社が、引き受け前にレイコフの財務と事業の状況を調査した結果、引き受けを3月27日まで延期してしまったのです。
この結果、資金繰りに行き詰ったレイコフは経営破たんしました。レイコフは2003年8月期~2007年8月期まで、経常利益と純利益で黒字を確保していました。2007年8月期まで損益計算書上では黒字が続いていましたが、営業キッシュフローでは赤字が続き、最終的には手元の運転資金が足りなくなり経営破綻しました。
ちなみに、ダイヤモンドzaiという雑誌で2008年3月号までは、「倒産確率データシート」という倒産確率が高い銘柄をリストアップした記事が掲載されていました。ZAiの2008年3月号では、レイコフの倒産確率は3.7%となっていました。
個人的に、この倒産確率データシートで倒産確率が3%以上になっている会社の株は買わないようにしていました。倒産の可能性がある銘柄を避けるためのヒントになっていたからです。
しかし、2008年4月号から「倒産確率データシート」は掲載されなくなりました。復活してほしいものです。
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