5月27日、ジャスダック上場のゲームセンター運営中堅 アリサカ (証券コード2328)が同日午前開いた取締役会で会社更生手続き開始の申し立てを行うことを決議したと発表しました。負債総額は135億3200万円です。
ジャスダック証券取引所は27日、アリサカ株を6月28日付で上場廃止にすると発表しました。
以下、朝日新聞の記事からの抜粋です。
九州を中心にゲームセンターなどを展開しているジャスダック上場のアリサカ(本社・宮崎市、有坂順三社長)は27日、過去数年間にわたって粉飾決算を行っていたと発表した。08年3月期は30億円程度の債務超過に陥る見込みで、来月3日に会社更生手続きの開始を宮崎地裁に申し立てる。負債は約135億円で帝国データバンクによると、今年に入って九州で最大の倒産になる。ジャスダックは6月28日上場廃止を決定した。
会見によると、アリサカは3年前からゲームセンターの景品などの棚卸し資産を水増ししたり、架空の店舗改装費を計上したりして、不適切な会計処理を続けていた。財務担当の専務と経理部長が相談して実行したという。08年3月期の会計監査で、監査法人から指摘を受けて発覚した。
宮崎県庁で会見した有坂社長は「私が粉飾を指示した事実はなく、会社ぐるみではない」などと語った。今後も営業は続け、社員約160人、パート、アルバイト約800人の雇用は続ける方針。
アリサカのプレスリリースによると、「相次ぐ出店に伴い、有利子負債やリース残高が大幅に増加し、収益確保が困難な状況になっていた。こうしたなか、2008年3月期の会計監査において監査法人の指摘により、過年度における棚卸資産の過大計上や店舗改装費の架空計上などの不適切な会計処理が判明」ということです。
有坂順三社長は自らが粉飾を指示した事実はないと述べていますが、内部管理の甘さは否定できないでしょう。
ところで、私は上場企業が倒産すると、必ず会社四季報を見ることにしています。「会社四季報で倒産した企業のページを見ること」を何回も繰り返していくうちに、どういった財務内容の企業が危ないのか感覚的に判ってくるからです。
しかし、今回のアリサカの倒産は正直予想できませんでした。会社四季報だけでなく、四半期ごとに決算書を読んでいたとしても、今年のうちに倒産するとは予想できなかっと思います。
アリサカの前期決算における財務状況を見て、ぱっと目に付く悪い部分とえば、有利子負債が大きい点と、投資キャッシュフローが大きくマイナスな点です。
ただ、投資キャッシュフローは本業への投資を行っている企業でしたらマイナスになるのが普通ですし、アリサカの場合、財務キャッシュフローがプラスなので、それほど問題ないように見えました。
しかも、キャッシュフローの中で一番重要な営業キャッシュフローもプラスです。なかなか倒産を兆候を見出すことができません。
ありがたくない話しですが、アリサカの粉飾決算のレベルは高かったといえるでしょう。
今年倒産した上場企業は、グレース、レイコフ、ニイウスコー、アリサカの4社になりますが、その中で最も倒産を予見するのが難しかったのがアリサカだと思います。
▼関連記事