8月26日、戸建住宅分譲の創建ホームズ【東証1部:8911】が東京地裁に民事再生手続きの開始を申し立て、受理されたと発表しました。負債は約338億円です。
これを受け、東京証券取引所は創建ホームズ株を9月27日付で上場廃止にすると発表しました。
以下、帝国データバンクのウェブサイトからの抜粋です。
戸建住宅分譲大手
東証1部上場
創建ホームズ株式会社
民事再生法の適用を申請
負債338億8979万円TDB企業コード:986680702
「東京」 創建ホームズ(株)(資本金26億3932万5000円、杉並区荻窪2-32-8、登記面=杉並区南荻窪1-43-15、丸本吉紀社長、従業員168名)と、関係会社の創建アビリティ(株)(資本金5000万円、同所、同社長、従業員15名)は、8月26日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。
~~~中略~~~
しかし、2008年2月期に入ると改正建築基準法に伴う混乱や金融の引き締めなどによる不動産市場の軟化とともに、不況の影響を受けたニューリッチ層の購入意欲の減退を受けて、年売上高は対前期比5.2%減の約402億5600万円に低迷。棚卸資産の評価損もあり約7億7500万円の最終損失を計上、赤字に転落していた。
プロジェクト資金を金融機関からの調達に依存していたことで、2008年2月期の月商の有利子負債倍率は9.75倍と資金繰りは急速にタイトになっていた。2008年6月以降になると同業他社の破綻も相次ぎ、金融環境はさらに悪化、8月末の決算資金のメドが立たなくなったことで、今回の措置となった。
また、当社が施工した物件のリフォームを手がける関係会社の創建アビリティ(株)も連鎖した。
負債は、創建ホームズ(株)が約338億8979万円、創建アビリティ(株)が約2億9344万円。
さて、私は上場企業が倒産すると、必ず会社四季報を見ることにしています。「会社四季報で倒産した企業のページを見ること」を何回も繰り返していくうちに、どういった財務内容の企業が危ないのか感覚的に判ってくるからです。
創建ホームズは、ぱっと見た感じでは、株主持分が少ない点、有利子負債が多い点、営業キャッシュフローが大幅にマイナスな点が目に付きますね。そして、2008年2月期は経常利益が赤字でしたし、2009年2月期も赤字の予想を出していました。
経常利益の赤字もまずいのですが、一番インパクトがあるのが営業キャッシュフローが75億円のマイナスだったことですね。売上高418億円の企業で、営業キャッシュフローが75億円のマイナスというは厳しいですね。しかも、前年度も58億円の営業キャッシュフローのマイナスを出しています。資金繰りに行き詰るのも当然です。
営業キャッシュフローの大幅は赤字は、先日倒産したアーバンコーポーレーションにも共通していえることでしたね。
創建ホームズにしてもアーバンにしても1990年代に設立された企業であり、90年代前半の「究極の土地バブル崩壊」を体験したことがない会社なので、土地価格が下落したときへの備えが不十分だったのでしょう。
さて、今年は下記の要因で、建設業界や不動産業界が不況に突入しています。
- 米サブプライム住宅ローン問題に端を発した、金融機関の融資の厳格化
- 地価の下落
- 不動産バブルで値上がりしたマンションが、バブルがはじけたせいで高値では売れなくなった
- 建設資材の値上がり
今年は、金融機関の不動産関連企業に対する融資が慎重になっているため、資金繰りに行き詰る会社が増加しています。「あれ、この程度のバランスシートでも倒産するの」という感じの倒産事例が増えてきました。
今年は、もし不動産関連企業に投資する場合、四季報だけでなく必ず財務諸表に目を通すべき年になったようです。
また、上記の1~4の悪材料に加えて、不動産関連企業の連鎖倒産も懸念される状況に突入したように思われます。
なお、今年倒産した上場企業は、下記の13社です。
- グレース ※
- レイコフ ※
- ニイウスコー
- アリサカ
- トスコ
- スルガコーポレーション ※
- 真柄建設 ※
- エー・エス・アイ(株) (旧・(株)アスキーソリューションズ
- キョーエイ産業 ※
- ゼファー ※
- 三平建設※
- アーバンコーポレーション※
- 創建ホームズ※
※をつけた会社が不動産関連企業です。