信用取引 [読み:しんようとりひき] [英語名:Margin trading]
祐作:先輩、信用取引ってなんですか?
兜:ふむ、信用取引とは、一言でいうと「借金取引」だな。
祐作:はあ? 借金取引ですか?
兜:そうだ。信用取引というのは「現金や株券を証券会社に担保にいれると証券会社がお金や株券を貸してくれるので、手持ちの現金以上の売買ができますよ」っていう仕組みだ。
祐作:なるほど、証券会社がお金や株券を貸してくれるんですか。
兜:そう。個人投資家は証券会社からお金や株券を借りることで、二つの長所と二つの短所を得ることになる。
長所は「自分の手持ち資金以上の売買ができること」と
「空売り(信用売り)ができること」だ。
短所は「ハイリスクになること」と
「証券会社に金利を支払わないといけないこと」だ。
祐作:もう少し詳しく説明してもらっていいですか?
兜:うん、まず「自分の手持ち資金以上の売買ができること」だけど、証券会社に現金や株券を担保としておさめるとお金が貸してもらえるので、そのお金で手持ち資金以上の買い注文を入れられる。
普通の証券会社なら最大で現金の約3倍の買いを入れることができる。これを、てこの原理になぞらえて「レバレッジ効果」というんだ(レバレッジとは英語でテコのことを指す)。
祐作:約3倍というのは、なにが基準になっているんですか?
兜:ふむ、いい質問だな。まず、証券会社に現金や株券を担保として納めると、その担保は「委託保証金」と呼ばれるということを覚えてくれ。それで「委託保証金÷買い合計金額」が30%をこえていれば普通の証券会社なら文句は言われないんだ。このパーセンテージのことを委託保証金維持率という。
委託保証金維持率は、たとえば、現金を30万円持っていて買い合計金額が100万円だとすると、「30÷100=30%」となる。ここまでならぎりぎり大丈夫だ。これが、「29÷100=29%」になると駄目だ。証券会社から担保不足ですよという警告が来る。いわゆる追い証というやつだ。
委託保証金率を最低30%以上と定めている証券会社が多いわけだけど、30%だとだいたい現金の3倍くらいまで取引ができるんだよ。
祐作:なるほど、では空売りとはなんでしょうか?
兜:空売りとは「株券を持たず、あるいは、持っていてもそれを使用せずに売ること」だな。株価が下がる読んだ銘柄の株を証券会社から貸してもらって、まずは売る。そして、値下がりしたところで市場で買い戻し証券会社に株を返すことにより、差額を得る狙いの取引だ。
祐作:なんか、ややこしいですね。
兜:現物取引と考え方が逆なわけだ。現物の場合「安く買う→高く売る」のが目的で、空売りの場合「高く売る→安く買い戻す」が目的だ。現物取引だと証券会社から株券を借りることは不可能だけど、信用取引なら証券会社に担保を納めているので株券を借りることができる。だから、売りから入ること(カラ売り)ができるんだよ。
祐作:考え方が逆ですか。ということは、現物の場合株価が上がると予想するから買うわけですけど、空売りの場合は株価が下がると予想するから空売りするわけですね。
兜:そういうことだな。空売りは、株価が下落すると儲かる取引だから。空売りを極めると下落相場でも儲けることが可能だ。基本的に信用取引というものは、この空売りをするために使うものだと考えた方がいい。
祐作:そうなんですか。
兜:その説明の前に、信用取引の短所について述べておこう。まず、ハイリスクということだ。
祐作:ハイリスク・・・なイメージはありますね。「信用取引はこわい」っていうイメージがあります。
兜:ハイリスクになる要因の一番目。それは、前の方で言ったけど、最大で手持ち資金の約3倍の取引が出来る点だ。これを限界までやると、勝てば利益が3倍だけど、負ければ損失が3倍になる。
例えば、現金100万円を持っているAさんがいたとする。Aさんが、信用取引を使って100万円の銘柄を3株買った。その株が110万円になったとすると利益は(110-100)×3=30万円だ。しかし、90万円になったとすると、損失は(90-100)×3=-30万円だ。手元には、70万円しか残らないことになる。株価は10%下げただけなのにエラいことだ。
祐作:はあ、こわいですね。
兜:が、これなら、まだいい。100万円で買った3株だけど、発行している会社がいきなり倒産したとする。この場合、Aさんは300万円の損失だ。しかし、Aさんは100万円の資金しかもっていない。ということは200万円の借金を背負うことになる。
祐作:なるほど。買った銘柄の会社が倒産すると、そんなことになるんですね。
兜:つまりだ。たいていの人は資金以上の取引をするために信用取引を使うわけだけど、資金以上の株を持つと借金生活に入るリスクがあるということだ。実際に、信用取引で借金を背負った人はいる。ライブドアショックの直前に、ライブドア株を手持ち資金の2倍買っていた人とかね。これが、信用取引はこわいというイメージが発生する理由の一つだ。
祐作:一つ・・・ということは、他にもあるんですね?
兜:そうだな。もう一つは、「空売りの損失額は理論上無限大」なことだな。
祐作:え、無限大? どういうことです?
兜:空売りは、証券会社から株を貸してもらって売るから、後で株を返すって言ったよね。
祐作:そうですね。
兜:例えば、100万円の株を1株空売りしたとして、それが値上がりして1000万円になったとする。1000万円でも返済期限がくると株を買い戻して証券会社に返さないといけない。100万円で売って1000万円で買い戻すわけだから100-1000=-900で、900万円の損失だ。
現物の買い注文だと、100万円の株を1株買っても、最大の損失は会社が倒産した場合の100万円だからえらい違いだよな。
祐作:は〜、おそろしいですね。
兜:株価が上がれば上がるほど損するってわけだから、株価が青天井の株を空売りしたら損失はいくらでも増えていくってことだ。だから、空売りも借金を背負う可能性はあるわけだよ。
祐作:なるほど。信用取引はハイリスクですね。でも、まだ他にも短所があるんですよね。
兜:あと一つ大きな短所といえば、証券会社に金利を取られることだな。
祐作:金利ですか。
兜:信用取引は借金取引っていったよね。証券会社がお金や株券を貸してくれるんだから、見返りに金利を納めないといけないんだよ。借金に金利が付くのは世の常だよね。
祐作:金利はどれくらいなんですか?
兜:証券会社によってまちまちだけど、買いの場合年率2〜4%くらいが多いな。売りの場合、貸株料という名目で年1.15%とられる会社が多い。
祐作:信用取引ってけっこうデメリットもありますね。
兜:でも、金利があるおかげで信用取引は手数料が安いというメリットもあるぞ。
祐作:どういうことですか?
兜:個人投資家が証券会社に金利をおさめると、証券会社は儲かるでしょ。だから、証券会社としては信用取引を個人投資家に積極的に行ってほしいんだ。だから、現物取引より信用取引の手数料を安くしている証券会社は多い。
祐作:なんだか証券会社の手の上で踊らされている感じですね。
兜:そういうことだな。手持ちの資金以上の信用取引をすると金利もかさむし、リスクも高くなるし、あまりいいことない。だから、信用取引は手持ちの資金内で空売りをするためのものだと思うぞ。
祐作:手持ちの資金内ですか。
兜:信用取引は、手持ちの資金より少ない金額にしてリスクを抑えたうえで空売りを行い、下げ相場に対応するための手段だと思ってくれ。
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