東証マザーズ上場、エフオーアイが自己破産を申請【上場詐欺】

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5月21日、エフオーアイ【東証マザーズ:6253】が東京地裁へ自己破産を申請、同日保全管理命令を受けたと発表しました。

負債は約92億円です。

東京証券取引所は5月18日、エフオーアイ株を6月19日付で上場廃止にすると発表していました。

エフオーアイ社は、自己破産を申請する前に、すでに上場廃止が確定していたわけです。

以下、企業信用調査で有名な帝国データバンクのウェブサイトからの抜粋です。

2010/05/21(金)

半導体製造装置製造
東証マザーズ上場
株式会社エフオーアイ
自己破産を申請
負債92億円

TDB企業コード:201371690
「神奈川」 東証マザーズ上場で半導体製造装置メーカーの(株)エフオーアイ(資本金94億8592万4600円、相模原市中央区小山1-1-10、代表奥村裕氏ほか1名、従業員180名)は、5月21日に東京地裁へ自己破産を申請、同日保全管理命令を受けた。

~~~中略~~~

2009年3月期には年売上高約118億5500万円を計上し、2009年11月に東証マザーズに上場した。

 しかし、5月12日、証券取引等監視委員会が、上場前に提出した有価証券届出書に売上高を100億円規模で水増ししていた疑いがあるとして、金融商品取引法違反(有価証券届出書の虚偽記載)の容疑で当社本社などを強制調査していた。

5月16日、上場前の2009年3月期の有価証券届出書に虚偽の決算情報を記載して、上場申請時に提出していたと認めたことから、東京証券取引所は同日、当社株が上場廃止基準に該当する恐れがあるとして監理銘柄に指定、18日には上場廃止(6月19日付)を決定した。これら一連の事象が著しく信用を失墜させたため、事業継続が困難になっていた。

 負債は、債権者数約330名に対して約92億円。

 なお、今年に入っての上場企業の倒産は(株)エフオーアイ(ジャスダック、5月民事再生法)に続いて4社目。また、当社は株式上場から6カ月で法的整理に移行しており(株)モリモト(東証2部上場、2008年11月民事再生法)の9カ月を抜いて、上場を果たした後、最短の倒産となった。

さて、私は上場企業が倒産すると、必ず会社四季報を見ることにしています。「会社四季報で倒産した企業のページを見ること」を何回も繰り返していくうちに、どういった財務内容の企業が危ないのか感覚的に判ってくるからです。

といっても、エフオーアイの場合は、粉飾決算を行っていたわけですから、四季報を見たくらいでは倒産は予想できませんでしたね。四季報を見ても、営業キャッシュフローが35億円のマイナスくらいしか悪い部分は見当たりません。

2008年に粉飾決算で倒産したプロデュースと同じくらい倒産を予想するのが難しかったと思います。

粉飾決算を行っている会社の財務状況は、実際よりかなり良い状態に見えるので困りものです。

四季報を見るだけでは、粉飾決算を見破るのは不可能です。四半期決算ごとに貸借対照表を毎回チェックしても、粉飾を見破るのは難しいように思われます。

やはり粉飾決算は個人投資家にとって最大の敵です。

粉飾決算によるダメージを軽減するには、下記のような対策が必要と思われます。

  1. 財務状況の悪い企業に投資しないこと ・・・ 財務状況や営業の業績の悪い企業は、それを隠すために粉飾に走る可能性が高い。
  2. マイナーな監査法人の監査を受けている企業には投資しないこと ・・・ 個人経営の監査法人は監査が緩い傾向がある。逆に大手の監査法人トーマツは、監査の基準が厳しい。
  3. 一社に集中投資をしないこと ・・・ 1社だけに集中投資をしていて、もし、その企業が粉飾決算をしていたら、株価下落により致命的な損失をこうむってしまう。
  4. 新興市場のよくわからない企業には投資しないこと ・・・ 歴史の長い大企業でも粉飾決算をしている企業はあるが、粉飾決算をする企業はやはり歴史の浅い新興市場の方が多い。

ちなみに、FOI社の財務状況は、下記リンク先の記事によると、実態は債務超過だったようです。

エフオーアイ破産申請、負債総額92億円 – TBS News i

  ~~~前略~~~

 会見した保全管財人の弁護士によりますと、もともと会社の実態は債務超過であった上、東証が上場廃止を決定したことで金融機関にも預金を凍結され、事業の継続を断念したということです。

普通、新興市場の詐欺的な上場企業というのは、下記のような末路をたどることが多いです。

  1. 上場直前に無理矢理取り繕った好決算を計上。
  2. 上場して資金調達した後、大株主が株を売り抜けて現金取得
  3. 無理して売上を作った反動で翌年以降、業績が悪化。赤字転落
  4. 赤字による倒産を引き延ばすため、新株発行や、MSCBの発行などで資金調達。その結果、株式が希薄化
  5. 何度も資金調達を繰り返しているうちに、株式の希薄化が極限まで達し、株式市場での資金調達が不可能に → 倒産もしくは上場廃止

上の典型的な例に比べ、エフオーアイの何がすごいかというと、上場前からすでに債務超過だったことです。

すでに債務超過だった駄目企業が、新規上場で株式市場から資金を集めることで、会社の延命を狙った模様です。もしくは、社長かその関係者が、IPOで一儲けを狙ったのでしょう。いずれ嘘がばれることは判っていながら。

東証マザーズの上場審査基準が東証二部より緩い以上、こういう不届きな企業が出てくるのは自然な流れです。問題は、エフオーアイの上場を支持した主幹事証券会社と監査法人の審査能力の駄目さですね。なぜ、上場をやめさせることができなかったのか疑問です。

また、今回のエフオーアイ社の事件を受け、今後、東京証券取引所は、東証マザーズの上場審査を厳しくせざるを得ないでしょう。東証マザーズの上場審査が緩いと詐欺が横行しますが、審査を厳しくしすぎると新規上場企業が減り、痛し痒しです。審査をどれくらい厳しくするか、さじ加減が難しいですね。

なお、今年に入ってからの上場企業の倒産は、下記のようになっています。

▼2010年度 倒産上場企業の一覧

会社名 証券取引所と証券コード 倒産の形態 倒産時の負債 倒産の日付 (2010年) 上場廃止日 (2010年)
日本航空 東証1部 : 9205 会社更生

日本航空が約6715億7800万円

日本航空インターナショナルが約1兆5279億1900万円

ジャルキャピタルが約1226億8400万円

3社合計の負債は約2兆3221億8100万円

1月19日 2月20日
CRE(コマーシャル・アールイー) ジャスダック : 8866 民事再生 約150億円 5月6日 6月7日
プロパスト ジャスダック : 3236 民事再生 約554億 5月14日 未定
エフオーアイ 東証マザーズ : 6253 破産申請 約92億円 5月21日 6月15日

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