3月12日、マンションの企画・開発・販売会社のエスグラントコーポレーション 【名古屋証券取引所セントレックス:8943】が、東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、受理されたと発表しました。
いわゆる倒産です。負債は約191億円です。
これを受け、名古屋証券取引所はエスグラントコーポレーション株を4月13日付で上場廃止にすると発表しました。
以下、帝国データバンクのウェブサイトからの抜粋です。
マンション分譲
名証セントレックス上場
株式会社エスグラントコーポレーション
民事再生法の適用を申請
負債191億3700万円企業コード:986119831
「東京」 (株)エスグラントコーポレーション(資本金19億1115万円、品川区東五反田5-28-10、登記面=目黒区下目黒1-8-1、代表杉本宏之氏、従業員15名)は3月12日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。
~~~中略~~~
しかし、サブプライムローン問題、建築基準法の改正などにより業界に対する信用収縮が進んだ影響で販売不振に陥り急速に業況が悪化。金融機関からの調達も厳しくなり、資金繰りが急速に悪化していた。
このため2008年4月にユニマットグループ5社より出資を受け、同グループ入りを果たしたが、販売実績はあがらず、2008年6月期の年売上高は約291億1900万円に減少。
その後も経営環境は厳しさを増し、金融機関からの口座凍結、返済金額の増額要請もあり、借入金の返済、建築代金の決済のメドが立たなかったうえ、3月3日には、2009年6月期第2四半期報告書の提出が遅延して監理ポストに割り当てられていた。
さて、私は上場企業が倒産すると、必ず会社四季報を見ることにしています。「会社四季報で倒産した企業のページを見ること」を何回も繰り返していくうちに、どういった財務内容の企業が危ないのか感覚的に判ってくるからです。
四季報でエスグラントコーポレーションの2008年6月期の決算を見るに、エスグラントコーポレーションは総資産222億円に対して、自己資本(株主持分)がたったの8億円しかありません。有利子負債は176億円と巨大です。利益剰余金は-27億円と、大幅にマイナスになっています。
また、営業キャッシュフローは48億円のマイナスですし、純利益は48億円の赤字とまるでいいところがありません。
財務が悪いので当然といえば当然ですが、継続企業の前提に関する重要な疑義が付いています。
エスグラントコーポレーションは2008年6月期の決算が出た時点ですでに、典型的な「買ってはいけない銘柄」になっていたといえるでしょう。
なお、今年倒産した上場企業は、下記の13社です。
▼2009年度 倒産上場企業の一覧
会社名 | 証券取引所と証券コード | 倒産の形態 | 倒産時の負債 | 倒産の日付 (2009年) | 上場廃止日 (2009年) |
東新住建 ※ | ジャスダック:1754 | 民事再生 | 430億円 | 1月9日 | 2月10日 |
クリード ※ | 東証1部:8888 | 会社更生 | 650億円 | 1月9日 | 2月10日 |
エス・イー・エス | ジャスダック:6290 | 民事再生 | 142億円 | 1月16日 | 2月17日 |
サイバーファーム | ヘラクレス:2377 | 破産 | 79億円 | 1月30日 | 2月17日 |
中道機械 (なかみちきかい) | 札証:8094 | 民事再生 | 76億円 | 2月5日 | 3月6日 |
日本綜合地所 ※ | 東証1部:8878 | 会社更生 | 1975億円 | 2月5日 | 3月6日 |
ニチモ ※ | 東証1部:8839 | 民事再生 | 757億円 | 2月13日 | 3月14日 |
小杉産業 | 東証2部:8146 | 破産 | 97億円 | 2月16日 | 3月3日 |
あおみ建設※ | 東証1部:1889 | 会社更生 | 396億円 | 2月19日 | 3月20日 |
SFCG | 東証1部:8597 | 民事再生 | 3380億円 | 2月23日 | 3月24日 |
トミヤアパレル | 大証2部:8067 | 会社更生 | 156億円 | 2月26日 | 3月27日 |
パシフィックホールディングス ※ | 東証1部:8902 | 会社更生 | 1636億円 | 3月10日 | 4月11日 |
エスグラントコーポレーション ※ | 名証セントレックス:8943 | 民事再生 | 191億円 | 3月12日 | 4月13日 |
※をつけた会社は不動産関連企業or建設関連企業です。不動産関連企業の苦境はまだ続きそうです。
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