5月30日、東証2部と大証2部上場の麻紡績大手 トスコ (証券コード3304)が会社更生手続き開始の申し立てを行い、東京地裁に受理されたと発表しました。負債総額は約32億7390万円です。
東京証券取引所と大阪証券取引所はトスコ株を7月1日付で上場廃止にすると発表しました。
以下、帝国データバンクのウェブサイトからの抜粋です。
麻紡績最大手
東証・大証2部上場
トスコ株式会社
会社更生法の適用を申請
負債32億7390万円「東京」 東証・大証2部上場のトスコ(株)(資本金25億3654万円、中央区日本橋人形町1-1-10、代表末次正之氏、従業員110名)は、5月30日に東京地裁へ会社更生法の適用を申請し、保全管理命令を受けた。
申請代理人は梶谷剛弁護士(千代田区丸の内2-4-1、電話03-3212-1451)ほか5名。保全管理人は土岐敦司弁護士(港区虎ノ門4-3-1、電話03-5408-6160)。
当社は、1918年(大正7年)3月に設立された各種繊維および繊維製品の製造・加工・販売業者。55年には業績不振から会社更生法の適用を申請、57年には更生手続きを終結し、61年に東証および大証2部へ上場を果たしていた。東京本社のほか大阪営業所、広島には三原工場を設置するほか、73年にはブラジルに現地法人を設立。94年には中国に当社70%出資の会社を設立するなど積極的に展開、麻紡績業では国内最大手の地位を確立し、ピーク時の85年3月期には年売上高約267億900万円をあげていた。
しかし近年は、繊維業界の生産拠点の海外シフトの加速によって廉価製品が台頭するほか、気候不順などから売り上げ減少に歯止めがかからず、2008年3月期の年売上高は約62億5800万円にダウン、3期連続の経常赤字を余儀なくされていた。同時に「中期経営計画」(2009年3月期~2011年3月期)を策定していたが、見通しが立たず自主再建を断念した。
負債は2008年4月末時点で約32億7390万円。
さて、私は上場企業が倒産すると、必ず会社四季報を見ることにしています。「会社四季報で倒産した企業のページを見ること」を何回も繰り返していくうちに、どういった財務内容の企業が危ないのか感覚的に判ってくるからです。
今回のトスコの倒産は予想がしやすかったと思います。
四季報を見てすぐに目に付くのが、経常利益が3期連続で赤字であることです。この事実だけでも、一般の個人投資家はここの株に投資をするのは避けるべきだったといえます。
また、利益剰余金が26億3900万の大幅なマイナスとなっていますし、営業キャッシュフローも5億3900万のマイナスになっています。
こう財務が悪化していると、外部のスポンサーが資金を供給してくれないと経営がもたないわけですが、トスコは大株主の伊藤忠商事にさじを投げられてしまったのかもしれませんね。
今年倒産した上場企業は、グレース、レイコフ、ニイウスコー、アリサカ、トスコの5社になりますが、その中でもニイウスコーとトスコは倒産が予想しやすかったと思われます。
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