2012年5月9日、消費者金融・事業者金融業を営んでいたNISグループ【東証2部:8571】が、
東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日に受理されました。
いわゆる倒産です。負債は2011年12月31日時点で約508億2300万円です。
これを受け、東京証券取引所は、NISグループ株を2012年6月10日付で上場廃止にすると発表しました。
以下、企業信用調査で有名な帝国データバンクのウェブサイトからの抜粋です。
2012/05/09(水) 中小企業向け金融
東証2部上場
NISグループ株式会社
民事再生法の適用を申請
負債508億2300万円TDB企業コード:740041301
「東京」 NISグループ(株)(資本金282億8937万5826円、港区南麻布3-19-23、登記面=愛媛県松山市千舟町5-7-6、代表原川城治氏)は、5月9日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。~~~中略~~~
こうしたなか、日本振興銀行(株)が9月に民事再生法の適用を申請、同行に対する保有株式や長期貸付金の引き当て処理を行ったことで、貸金業法の定める純資産要件を満たさなくなったことから2010年12月31日付で貸金業を廃止。財務内容の悪化により、東証2部に指定替えとなっていた。また、大口債権者との間で、再建策の合意に向けて交渉を進めていたが、合意の見通しが立たず、今回の措置となった。
さて、私は上場企業が倒産すると、必ず会社四季報を見ることにしています。「会社四季報で倒産した企業のページを見ること」を何回も繰り返していくうちに、どういった財務内容の企業が危ないのか感覚的に判ってくるからです。
四季報でNISグループの「2012年3月期の第3四半期決算」を見るに、NISグループは総資産が313億円あります。しかし、自己資本(株主持分)が-221億円となっています。債務超過の状態であり、この数字を見ただけでも「買ってはいけない株」ということが判ります。
有利子負債は250億円と、総資産に対して大きな数字となっています。
また、利益剰余金は-784億円と巨額のマイナスになっています。利益剰余金がマイナスになっているのは、倒産する会社にありがちです。
また、四季報に載っている2011年3月期の本決算でのキャッシュフローの数字は、下記のようになっています。
NISグループのキャッシュフロー
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+16億円
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+21億円
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-52億円
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このように財務状況は非常に悪かったため、NISグループには継続企業の前提に関する重要な疑義が付いていました。
やはり、「継続企業の前提に関する重要な疑義」が付いている銘柄は、買わない方が無難でしょう。
なお、2012年度の上場企業の倒産は、下記のようになっています。
▼2012年度 倒産上場企業の一覧
会社名 | 証券取引所と証券コード | 倒産の形態 | 倒産時の負債 | 倒産の日付 (2012年) |
上場廃止日 (2012年) |
エルピーダメモリ | 東証1部:6665 | 会社更生 | 2011年3月末で約4480億3300万円 | 2月27日 | 3月28日 |
山水電気 | 東証1部:6793 | 民事再生 | 2011年12月31日時点で約2億4765万円 | 4月2日 | 5月3日 |
NISグループ | 東証2部:8571 | 民事再生 | 2011年12月31日時点で約508億2300万円 | 5月9日 | 6月10日 |
今年に入っての上場企業の倒産は、エルピーダメモリ・山水電気に次いで、NISグループが3社目です。
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