タカタ、民事再生法申請(倒産)で上場廃止

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2017年6月26日、自動車安全装置メーカーのタカタ【東証1部:7312】が東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同地裁に受理されました。

いわゆる倒産です。

負債は同時に倒産したグループ15社で、約3820億9200万円となっています。ただし、今後の民事再生手続きにおいて増加する可能性があります。詳細はこちら

これを受け、東京証券取引所は、タカタ株を2017年7月27日付で上場廃止にすると発表しました。

以下、企業信用調査で有名な帝国データバンクのウェブサイトからの抜粋です。

倒産速報記事

タカタ株式会社などグループ15社

世界トップクラスの自動車安全装置メーカー

続報、東証1部上場、1年9カ月ぶりの上場倒産
民事再生法の適用を申請

TDB企業コード:985268274

負債3820億9200万円

 「東京」 タカタ(株)(資本金418億6200万8250円、品川区東品川2-3-14、登記面=港区赤坂2-12-31、代表高田重久氏、従業員982名)は、6月26日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。

 

 ~~中略~~

 しかし、2004年以降に国内外で発生した当社製エアバッグの不具合・異常破裂に伴う大規模リコール問題が経営を圧迫。2015年11月にはホンダが当社エアバッグ部品の採用中止を表明するなど、以降は自動車メーカーの間で“タカタ離れ”の動きが世界的に進行。2016年5月末時点でリコール対象台数が世界で1億2000万台規模に達し、1兆円超ともいわれるリコール関連費用について、自動車メーカーとの負担割合を巡る協議が喫緊の課題となるなか、包括的な再建計画の策定を目的に外部専門家委員会を設置。外部スポンサーによる再建を前提に支援企業の選定を進め、今回の措置となった。

さて、私は上場企業が倒産すると、必ずその企業の会社四季報と決算短信を見ることにしています。「会社四季報で倒産した企業のページを見ること」を何度も繰り返していくうちに、どういった財務内容の企業が危ないのか感覚的に分かってくるからです。

四季報でタカタの「2017年3月期の本決算」を見るに、タカタは総資産が4309億円あります。自己資本(純資産)は331億円となっており、自己資本比率は7.0%となっています。自己資本比率が10%を切っているのは、かなりよくありません。

銀行などの金融業なら10%を切っているのはいたしかたないですが、メーカーで10%未満になっているのは厳しいという印象です。自己資本比率の数値を見た時点で、すでにタカタ株には暗雲が漂っています。

有利子負債は839億円となっており、それなりの金額ですが、総資産との比率を考慮するとメーカーとしては致命的ではないでしょう。

利益剰余金は-251億円となっています。利益剰余金がマイナスになっているのは倒産する企業にありがちです。

また、四季報に載っている2017年3月期の本決算でのキャッシュフローの数字は、下記のようになっています。

タカタのキャッシュフロー
+89億円
+118億円
0億円

営業キッシュフローは+89億円となっており、悪くない数値です。本業ではお金を稼げていることになります。

投資キャッシュフローもすごく問題になるような数値には思えません。

どちらかというと、四季報で確認できるだけでも、2015年3月期から2017年3月期までずっと赤字決算を続けており、こちらの方が重大事でしょう。3期連続で赤字になっていれば「倒産してもやむなし」というところです。

さらに、致命的なのが、読者の皆様も既に新聞などで耳にしているでしょうが、タカタはエアバッグのリコール問題の発生により、「将来的なリコール費用の支払い」という実質的な巨額の負債を背負っています。そのため、以前から倒産の噂はささやかれていました。

また、四季報には会社ごとに、企業の解説記事が載っています。2017年6月に発売された四季報には、タカタについて下記のような解説記事が載っていました。

~~~

【続 落】米国子会社など複数社売却で売上高押し下げ。リコール影響による受注減は米州中心に下期から顕在化。司法取引関連特損など消滅だが、巨額特損リスク残る。

【長期化】一部事案の原因究明継続。日米欧の複数自動車メーカーとの責任割合明確化や総額1兆円めぐるリコール費分担協議が難航、米KSSを出資者候補とした再建策策定が長期化。継続企業前提に疑義注記。

~~~

また、四季報だけでなく、タカタが発表した平成29年3月期 本決算短信にも記載があるのですが、タカタには継続企業の前提に関する重要な疑義が付いていました。

やはり、「継続企業の前提に関する重要な疑義」が付いている銘柄は、買わない方が無難でしょう。

日頃から、四季報に載っている企業解説記事や、タカタが発表した決算短信に目を通していた個人投資家は、今回のタカタの倒産を避けることができたでしょう。

なお、上場企業の倒産は2015年9月の第一中央汽船(株)(東証1部)以来1年9カ月ぶりです。 

▼2015年度 倒産上場企業の一覧

会社名 証券取引所と証券コード 倒産の形態 倒産時の負債 倒産の日付
(2015年)
上場廃止日
(2015年)
スカイマーク 東証1部:9204 民事再生 約710億8800万円 1月28日 3月1日
江守グループホールディングス 東証1部:9963 民事再生 約711億円 4月30日 5月31日
第一中央汽船 東証1部:9132 民事再生 子会社と合わせて約1764億 9月29日 10月30日

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