2013年3月14日、半導体試験装置製造の東京カソード研究所【ジャスダック:6868】が、
東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日同地裁に受理されました。
いわゆる倒産です。負債は約32億円となっています。
これを受け、ジャスダックを運営する大阪証券取引所は、東京カソード研究所株を2013年4月15日付で上場廃止にすると発表しました。
以下、企業信用調査で有名な帝国データバンクのウェブサイトからの抜粋です。
2013/03/14(木) 半導体試験装置製造
【ジャスダック上場】今年初めての上場企業倒産
株式会社東京カソード研究所
民事再生法の適用を申請
負債32億円TDB企業コード:980651491
「東京」 (株)東京カソード研究所(資本金23億2310万5195円、板橋区板橋1-10-14、代表大久保尚武氏、従業員109名)は、3月14日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。
~~中略~~
しかし、リーマン・ショック以降は半導体業界が低迷、2011年には東日本大震災やタイにおける洪水被害の影響を受け、2012年3月期の年売上高は約25億7300万円にダウン。その間、事業を売却、プローブカード事業に経営資源を集中するなどして再建を図っていたものの奏功せず、自力再建を断念した。
さて、私は上場企業が倒産すると、必ず会社四季報を見ることにしています。「会社四季報で倒産した企業のページを見ること」を何回も繰り返していくうちに、どういった財務内容の企業が危ないのか感覚的に判ってくるからです。
四季報で東京カソード研究所の「2013年3月期の第2四半期決算」を見るに、東京カソード研究所は総資産が48億円あります。自己資本(株主持分)は12.7億円あり、株主持分比率は26.4%となっており良い数字ではありませんが、劇的に悪いという程でもありません。株主持分比率だけを見て、破産を予想するのは難しい状態です。
有利子負債は23.5億円と、総資産に対して、なかなか大きい数字になっています。
また、利益剰余金は-37.9億円と巨額のマイナスになっています。利益剰余金がマイナスになっているのは、倒産や破産をする会社にありがちです。
また、四季報に載っている2012年3月期の本決算でのキャッシュフローの数字は、下記のようになっています。
東京カソード研究所のキャッシュフロー
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-2.09億円
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-0.38億円
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-4.09億円
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株主持分比率は激しく悪いという程ではないのですが、営業キャッシュフローの状態が悪いですね。
やはり「本業を行った結果に、手元のお金がいくら増えたか(…あるいは減ったか)を示す営業キャッシュフロー」がマイナスの会社への投資はリスクがあるなと感じました。
それ以前に、2009年から2012年にかけての本決算が全て赤字になっているのも大問題ではありますが。
なお、2012年度から2013年度の上場企業の倒産は、下記のようになっています。
▼2012年度から2013年度 倒産上場企業の一覧
会社名 | 証券取引所と証券コード | 倒産の形態 | 倒産時の負債 | 倒産の日付 (2012年) |
上場廃止日 (2012年) |
エルピーダメモリ | 東証1部:6665 | 会社更生 | 2011年3月末で約4480億3300万円 | 2月27日 | 3月28日 |
山水電気 | 東証1部:6793 | 民事再生 | 2011年12月31日時点で約2億4765万円 | 4月2日 | 5月3日 |
NISグループ | 東証2部:8571 | 民事再生 | 2011年12月31日時点で約508億2300万円 | 5月9日 | 6月10日 |
クレスト・インベストメンツ | ジャスダック:2318 | 民事再生 | 2012年4月30日時点で31億9000万円 | 7月31日 | 9月1日 |
シコー | 東証マザーズ:6667 | 民事再生 | 2012年7月末時点で約85億945万1823円 | 8月10日 | 9月11日 |
サクラダ | 東証1部:5917 | 自己破産 | 2012年10月31日時点で約26億9000万円 | 11月27日 | 12月12日 |
東京カソード研究所 | ジャスダック:6868 | 民事再生 | 約32億円 | 2013年3月14日 | 2013年4月15日 |
なお、上場企業の倒産は今年に入って初めてで、2012年度では11月のサクラダに続いて6社目です。
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