2012年7月31日、企業経営支援事業を営んでいたクレスト・インベストメンツ【ジャスダック:2318】が、
東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日に受理されました。
いわゆる倒産です。負債は31億9000万円です。
これを受け、ジャスダックを運営する大阪証券取引所は、クレスト・インベストメンツ株を2012年9月1日付で上場廃止にすると発表しました。
以下、企業信用調査で有名な帝国データバンクのウェブサイトからの抜粋です。
2012/07/31(火) 企業経営支援事業
JASDAQ上場
クレスト・インベストメンツ株式会社
民事再生法の適用を申請
負債31億9000万円TDB企業コード:581938677
「大阪」 クレスト・インベストメンツ(株)(資本金64億855万7049円、大阪市北区神山町1-3、代表鈴木伸治氏、従業員11名)は、7月31日東京地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は、五島洋弁護士(大阪市北区西天満4-3-25、電話06-6361-7141)ほか。監督委員には、大貫裕仁弁護士(東京都港区赤坂1-12-32、電話03-5562-8500)が選任されている。
当社は、2000年(平成12年)3月、製菓・製パン業界を対象にインターネットでの各種商品販売や情報提供を目的にビービーネット(株)の商号で設立し、2009年3月に中小企業投資機構(株)に、2010年11月現商号に変更。
~~中略~~
しかし、資金支援を得ていた日本振興銀行が2010年5月に金融庁より一部業務停止命令を受けた後、同銀行は同年9月に民事再生法を申請。メーンバンク破綻により当社も大幅な事業の縮小を余儀なくされ、2011年7月期の連結最終赤字は約15億3400万円と大幅に悪化し連結債務超過に転落。
2011年10月にはJASDAQ市場において上場廃止基準にかかる猶予期間銘柄に指定されたほか、日本振興銀行からの借入金が整理回収機構に譲渡され、経営面での先行き不透明感に拍車がかかっていた。昨年11月からは、再建に向けてスポンサー候補の選定を進めてきたがこれも暗礁に乗り上げ、その後も外部資本調達や債務圧縮の努力を続けてきたものの奏功せず、民事再生手続きによる再建を目指すこととなった。
さて、私は上場企業が倒産すると、必ず会社四季報を見ることにしています。「会社四季報で倒産した企業のページを見ること」を何回も繰り返していくうちに、どういった財務内容の企業が危ないのか感覚的に判ってくるからです。
四季報でクレスト・インベストメンツの「2012年7月期の第3四半期決算」を見るに、クレスト・インベストメンツは総資産が51億円あります。しかし、自己資本(株主持分)が-16億円となっています。債務超過の状態であり、この数字を見ただけでも「買ってはいけない株」ということが判ります。
有利子負債は38億円と、総資産に対して大きな数字となっています。
また、利益剰余金は-113億円と巨額のマイナスになっています。利益剰余金がマイナスになっているのは、倒産する会社にありがちです。
また、四季報に載っている2011年7月期の本決算でのキャッシュフローの数字は、下記のようになっています。
クレスト・インベストメンツのキャッシュフロー
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-0.95億円
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±0
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-3.98億円
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このように財務状況は非常に悪かったため、クレスト・インベストメンツには継続企業の前提に関する重要な疑義が付いていました。
やはり、「継続企業の前提に関する重要な疑義」が付いている銘柄は、買わない方が無難でしょう。
なお、2012年度の上場企業の倒産は、下記のようになっています。
▼2012年度 倒産上場企業の一覧
会社名 | 証券取引所と証券コード | 倒産の形態 | 倒産時の負債 | 倒産の日付 (2012年) |
上場廃止日 (2012年) |
エルピーダメモリ | 東証1部:6665 | 会社更生 | 2011年3月末で約4480億3300万円 | 2月27日 | 3月28日 |
山水電気 | 東証1部:6793 | 民事再生 | 2011年12月31日時点で約2億4765万円 | 4月2日 | 5月3日 |
NISグループ | 東証2部:8571 | 民事再生 | 2011年12月31日時点で約508億2300万円 | 5月9日 | 6月10日 |
クレスト・インベストメンツ | ジャスダック:2318 | 民事再生 | 2012年4月30日時点で31億9000万円 | 7月31日 | 9月1日 |
今年に入っての上場企業の倒産は、エルピーダメモリ・山水電気・NISグループに次いで、クレスト・インベストメンツが4社目です。
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