3月31日、トレイダーズ証券が東日本大震災発生以降の株式市場の急落で、日経225先物や日経225オプション取引を行っている顧客の損失分(決済損)の回収が進まず、11億円の不足金が発生したと発表しました。
3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震およびこれに端を発した福島第一原子力発電所事故の影響により、週明けの3月14日から同15日にかけて日経平均株価指数が2,000円を超える大幅な値下がりとなりました。
▼3月11日から3月17日の日経平均株価の値動き
日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
---|---|---|---|---|
2011年3月17日 | 8,913.35 | 9,093.61 | 8,639.56 | 8,962.67 |
2011年3月16日 | 8,767.2 | 9,168.51 | 8,763.95 | 9,093.72 |
2011年3月15日 | 9,441.66 | 9,441.66 | 8,227.63 | 8,605.15 |
2011年3月14日 | 10,044.17 | 10,049.92 | 9,578.65 | 9,620.49 |
2011年3月11日 | 10,298.64 | 10,378.55 | 10,254.43 | 10,254.43 |
2011年3月10日 | 10,544.13 | 10,549.17 | 10,410.1 | 10,434.38 |
日経平均株価急落の結果、トレイダーズ証券で日経225先物・オプション取引をしていた多数の個人投資家において、多額の損失が発生しました。
支払い不可能なほどの巨大な損失を抱えた個人投資家が続出し、その損金をトレイダーズ証券が立て替えているわけです。不足金は11億円になっています。
東洋経済新報社の記事によると、今回の相場乱高下では、日経225オプション取引における「プットの売り」で巨額の損失を出した個人投資家が多いということです。
~~~前略~~~
今回は地震発生後の日経平均の8000円台への急落に伴い、主に日経225オプション取引のプットの売り手に巨額の含み損が発生した。ネット証券ではこうした含み損が発生した場合、顧客に「追い証」と呼ばれる追加の差し入れ金の払い込みを求める。しかし、「期日までに追い証が払い込まれない場合は、強制的にプットを買い戻し、足りなかった金額が不足金として発生する」(マネックス証券)。
ちなみに、トレイダーズ証券は、この11億円のうち個人投資家から回収できなかった部分は貸倒引当金に計上する予定ということです。
以下、トレイダーズ証券の親会社であるトレイダーズホールディングスウェブサイトの発表文からの抜粋です。
平成23年3月31日
各 位会社名 トレイダーズホールディングス株式会社
代表者名 代表取締役社長 金丸勲(JASDAQ・コード 8704 )
問合せ先 総務部長兼財務部長 大浦隆文
(TEL 03-5114-0344(代表))
当社連結子会社であるトレイダーズ証券株式会社(以下、「トレイダーズ証券」といいます。)におきまして、平成 23年 3月 11日に発生した東北地方太平洋沖地震後の株式相場の急落に伴い、経営成績に影響を与える事象が発生いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。
記
1.
事実の概要平成 23年 3月 11日に発生した東北地方太平洋沖地震後の株式相場の急落に伴い、トレイダーズ証券におきまして、日経 225先物・オプション取引にかかる顧客の決済損に関し、預かり証拠金等を超える不足金が発生し、本日現在で約 11億円の立替金が残存しております。
2.
今後の事業に与える影響当該立替金につきましては、今後、顧客からの回収を進めてまいりますが、顧客毎の資産状況等によっては回収が長期化又は取立不能となるおそれがあります。このような状況において、当社は、トレイダーズ証券の財務基盤の安定化を図るために、当社において立替金対象債権の管理・回収を行うこととし、平成 23年3月 28日に、トレイダーズ証券に対し債権譲受けによるファイナンスを行なっております。
従いまして、トレイダーズ証券におきましては、上記ファイナンスにより事業継続に必要とされる自己資本規制比率が維持され、金融商品取引業者として事業を行う上での問題はありません。
3.業績に与える影響
現時点では、平成 23年3月期決算に対する影響は確定しておりませんが、今後、顧客別の回収可能性を検討の上、貸倒引当金による損失額が明らかになった場合には速やかにお知らせいたします。以上
東北関東大震災に端を発した株式市場の混乱で、顧客取引による多額の損金発生について発表したのは、今のところ下記の8社です。
▼2011年 ネット証券 不足金発生ランキング
順位 | 会社名 | 相場急変で発生した不足金 | 詳細記事 |
1位 | ひまわり証券 | 80億円 | 詳細 |
2位 | auカブコム証券(旧カブドットコム証券) | 39億円 | 詳細 |
3位 | 松井証券 | 35億円 | 詳細 |
4位 | 岡三オンライン | 18億円 | 詳細 |
5位 | マネックス証券 | 13億円 | 詳細 |
6位 | トレイダーズ証券 | 11億円 | 詳細 |
6位 |
SBI証券 | 11億円 | 詳細 |
8位 | クリック証券 | 3億9千万円 | 詳細 |
3月11日から15日にかけて、日経平均株価が高値10,378円から安値8,227円まで急激に動いたわけですから、日経225先物・オプション取引を提供している証券会社はどこでも、個人投資家から損金を回収できない事態が発生している可能性があります。金額に大小はあるでしょうが。
相場の乱高下で、個人投資家が日経225先物・オプション取引で多額の損失を出すリスクが高まったため、ネット証券各社でも、日経225先物取引の必要証拠金を改訂する会社が相次いで出てきています。
ネット証券の日経225先物取引の必要証拠金について知りたい方は、当サイトの日経225先物取引手数料比較表と日経225mini手数料比較表をご覧ください。
手数料だけでなく、必要証拠金の倍率も掲載しています。
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