先日、「著名な株式トレーダーの片山晃氏が、2020年に新規上場したモダリス株をロックアップ期間中に全て売却していた」という旨の記事を配信しました。
そのロックアップ違反の件について、モダリス社から続報が発表されました↓
大株主による制度ロックアップ違反の追加情報について【PDF】 ・・・ 2021年3月29日のモダリス社の発表文
発表文の概要ですが、「片山晃氏からモダリス社へ、片山氏が売却で得た金額など計4億8400万円を返上することに合意した」ということです。
4億8400万円の内訳は下記のようになっています。
- 片山氏が売却で実際に得た金額と、仮にロックアップ制限期間後に売却した場合に得られた金額の差額である4億100万円をモダリス社に支払う。
- 金融庁の課徴金のルールなどに基づいて独自に算定した8300万円を罰金として、片山氏が東証に支払う※
※2についてですが、モダリス側は、東証への支払いは「現実的に難しい」として、罰金分も同社に支払うことを逆に提案し、片山氏が合意しています。
モダリス社の発表文を読んで「え、ロックアップ違反のペナルティーって、それだけなの?」と思った個人投資家の方は多いのではないでしょうか。少なくとも私はそう思いました。
片山氏のロックアップ違反で一番金銭的に被害を受けたのは、片山氏がモダリス株を全て売却していった2020年8月3日から12月末の間に、モダリス株を保有していた投資家でしょう。
その期間にモダリス株を保有していた個人投資家は、片山氏の大口の売りによってかなりの株価下落圧力にさらされたはずです。
ただ、「一人一人の保有株がの株価がどれくらい下落して、どれくらい金銭的に損をしたか」という計算をする術がないんですよね。だから、個人投資家一人一人に損失の補償をする手段もないという理屈なんでしょう。
今回の片山氏とモダリス社の合意が仮に実施された場合、モダリス社は金銭的な補償を受けることになるでしょうが、損失を被った個人投資家達は補償が受けられず不公平感があります。
今後、IPO株のロックアップ違反で個人投資家が株価下落圧力にさらされる事態がまた起こってはまずいので、東京証券取引所はロックアップがかかっている株の売買について、よりルールを厳しくする必要があるのではないでしょうか。
日経新聞の記事によれば、東証はロックアップ違反に対して金銭的な罰則規定を設けてないということです。罰則規定なしの性善説に基づいていては、ルール違反が起こって当然と感じました。
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