東証にはTOPIX(東証株価指数)を対象とした先物が上場しています。TOPIX先物取引と呼ばれる商品です。日経225先物取引のTOPIX版ですね。
2月8日、東証のTOPIX先物取引のシステムで障害が発生し、後場の取引が中止となりました。今のところ、復旧の見込みは立っていません。以下、ロイター・ニュースからの抜粋です。
[東京 8日 ロイター] 東京証券取引所は8日、派生売買システムの障害について、原因はプログラム上のトラブルとの見方を示した。また、週明けのTOPIX先物3月限売買再開については、現時点で見通しがたっていないとしている。
東証は8日の前引け後、派生売買システムに障害が発生し、復旧の見込みが立たないとして、TOPIX先物2008年3月限の売買を後場から終日停止した。
記者会見した東証の広瀬IT企画部長によると、障害の原因については「ベンダーの富士通(6702.T: 株価, ニュース, レポート)とともに究明を急いでいるが、特定するには至っていない。何らかのプログラム上のトラブルだ」として・・・
ハードウェアのトラブルならバックアップが取れるので障害が発生しても、バックアップを運用することによって障害から立ち直ることが可能です。しかし、今回はプログラムのトラブルであり、バックアップによる再起動が通用しないので、問題が長引いています。不幸中の幸いなのは明日から三連休なことです。三連休中の回復に期待したいところです。
ところで、今回障害が発生したTOPIX先物取引のシステムを開発したのは富士通です。そして、現在使われている東証の株式売買システムを開発したのも富士通です。この株式売買システムは、2005年11月1日にプログラムのミスで売買が停止したことがあります(現在は修正済み)。
また、東証の株式売買システムは、2006年1月18日、ライブドアショックによる売買件数の急増に耐えられず14:40に全銘柄の取引を停止しました。東証はこのライブドアショックでの失態を教訓として、次世代システムの開発に着手しています。
2009年後半の稼働を目指す次世代売買システム開発の入札に勝利したのは富士通です。ITproの記事によると、次世代売買システムはOS=Linuxとサーバー「PRIMEQUEST」の組み合わせで開発されているとのことです。今回障害を起こしたTOPIX先物のシステムもLinuxとPRIMEQUESTで開発されたものです。
個人的には、東証は次世代システムの開発で日立を選ぶべきだったと考えています。
実は今回障害を起こした富士通のTOPIX先物取引システムですが2008年1月15日から稼動を開始したものです。それ以前に稼動していたTOPIX先物取引システムは日立製でした。日立製のシステムで今回のような大きなトラブルは聞いたことがありません。
また、大阪証券取引所のヘラクレスという市場は2006年2月26日まで富士通開発の取引システムを使っていました。このシステムの末期は情報配信や注文約定の遅延を頻繁に起こしていたものです。2006年2月27日からヘラクレスの取引システムは日立製になり改善されました。ヘラクレスは、現行の東証のシステムより高速な注文処理を実現しています。
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