1月22日、地理情報システム開発のIXI <4313>の株価が前日比-40,000 (-18.26%)の終値179,000円と下落しました。ストップ安です。
ストップ安の要因ですが、1月21日に同社が「民事再生手続き開始の申し立てを行い、申し立て先の大阪地裁が受理したと発表した」ためです。「裁判所に民事再生法の手続き開始を申請する」ということは倒産を意味します。
IXIは2月22日に上場廃止となりますが、上場廃止の前に倒産という最近では珍しい事例です。
上場企業が倒産する場合、通常、「監理ポスト → 整理ポスト(上場廃止) →倒産」という流れが多くなっています。しかし、今回のIXIは監理ポストにいる間にいきなり倒産となりました。
倒産に至った過程ですが、同社の【発表リリース、PDF】で以下のように述べられています。
平成19 年1 月19 日付で、「第19 期半期報告書提出遅延に関する調査の状況についてのお知らせ」として、社内及び社外調査の中間報告の結果、営業部門の取締役及び部長による社内ルールを逸脱した取引(会社決裁を受けない発注処理)が行なわれていた事実及び同人らの一部から社外専門家に対し、「循環取引が行われていた」「複数の取締役が関与していた」旨の発言があったことが報告され、当該関係者の処分を公表しておりました。
本件に関しては、引き続き事実確認を行なっていますが、株式の上場を維持することは非常に困難(半期報告書を平成19 年2 月4 日までに提出が困難)と判断しております。上場廃止となった場合は、銀行よりの借入れも即時返済を要することとなり、このままでは、本日現在の負債総額119 億円を返済することができません。
また、現時点において、全てを把握できておりませんが、会社決裁を受けない発注処理(簿外債務)の金額は上記負債総額とは別に100 億円以上あるものと思われます。
これらの状況を考慮した結果、当社の存続に重大な支障が生じるため、上記民事再生手続きの開始申し立てを行いました。なお、東京証券取引所株券上場廃止基準第3 条の2第1 項に規定する再建計画等の審査に係る申請については行いません。
発表文をまとめると、
- 循環取引などの粉飾決算をしていたせいで半期報告書を期限までに提出することが不可能。
- 半期報告書を期限までに提出できないので上場廃止
- 上場廃止になると銀行に借金をすぐに返さないといけないが、そんなキャッシュはない
- さらに簿外債務が100億円以上ある
ということでチェックメイトとなりました。
ちなみに、循環取引とは複数の会社で商品やお金をぐるぐると回転させて、見かけの売上高をかさ上げしたりすることです。
例えば、過去に循環取引を使って粉飾を行い上場廃止になった会社にメディアリンクスという企業がありましたが、その手口は下記のようなものです。
メディア・リンクスは97年ごろから、複数の企業間で架空の商品受発注を繰り返し、関与した協力企業に手数料を支払っていました。最終的にはメディア・リンクスが協力企業への手数料を上乗せした価格で「商品」を買い取っていたのです。
メディア・リンクス側は、手数料相当額の損失を被るものの、売上高を水増ししたり、一時的に運転資金が得られメリットがありました。一方、協力企業には、帳簿を整えるだけで協力金が手に入っていました。
この循環取引だけでも上場廃止ものですが簿外債務が100億円以上あるということで、民事再生の道を選んだのも納得です。なお、簿外債務の概念については下記のリンク先で詳しく説明されており、大変勉強になりました。ありがとうございました。
楽しい投資eコンサル ”簿外債務について”・・・公認会計士のばへっと氏のサイトです。