2005年までの株式分割については、値動きが激しくなるタイミングが四つほどありました。
「株式分割が発表された直後」「権利取最終日の前」「権利取最終日の翌日」「効力発生日以降」です。
しかし、2006年からの株式分割は、東京証券取引所の新ルール施行により、株式分割基準日の翌日から子株の売却が可能になるため今までの常識が通用しません。
新ルールについて調べてみました。
新ルールについては大和総研の「株式分割の効力発生前倒し(続報)」というPDF資料が非常に参考になります。
そのPDF資料から要点を抜粋してみました。
○2005 年8 月5 日、東京証券取引所(以下、東証)は株式分割に関する規則改正(株式分割に係る基準日の翌日を効力発生日とするための業務規定等の一部改正)を行った。
○今回の規則改正は、証券保管振替機構(以下、保振)においても決済手続面での対応が行われることを踏まえて、来年1 月から株式分割の効力発生日を基準日の翌日に前倒しすることを決めたものである。
○その意図は、一言で言えば、株式分割の基準日から実際に新株が取引可能となるまでのタイムラグを埋めることによって、その間に株価が乱高下する余地をなくそう、ということである。
上記の内容を踏まえると、株価が大きく動くとしてもタイミングは2点になってくるのかなと予想されます。
「株式分割が発表された直後」と「効力発生日前後」です。
ただ、前例がないため、株価が上にいくのか下にいくか全くわかりません。特に現時点で、「効力発生日前後」の値動きを予想するのは非常に困難です。
今回の新ルール施行ですが、長期投資家は子株還流までの資金拘束がなくなるので歓迎する方が多いのではないでしょうか。
短期投資家は、今までの常識が通用しないため、戦術を練り直さないといけませんね。
■参考: 以下、東証の発表資料のPDF株式分割に係る基準日の翌日を効力発生日とするための上場制度等の整備についてより抜粋
株式分割に係る基準日の翌日を効力発生日とするための上場制度等の整備について
平成1 7 年6 月2 2 日
株式会社 東京証券取引所
Ⅰ 趣旨
株式分割に係る現行実務においては、株主の確定や株券の準備等に時間を要することから、株式分割に係る基準日から新株券の交付までに50日程度を要しています。このため、新株券が交付されるまでの間、投資者は新株券を売却できず、流通市場において需給の不均衡が生じて株価の大きな変動を招く事例が見受けられます。
株式会社証券保管振替機構では、この問題を解消するため、関係者と協議の上、株式分割に係る基準日の翌日に新株券が預託されたものとみなして預託株券の残高を増加させること(みなし預託)により、当該基準日の翌日から新株券を旧株券と同様に決済物件として利用することができる対応を来年1月から実施することとしています。これにより、証券保管振替制度を利用する投資者は、速やかに新株券を売却することが可能となり、上述のような株式分割に伴う需給不均衡の発生を避けることができるようになります。
ただし、この対応は、上場会社が株式分割に係る基準日の翌日を効力発生日とすることを前提としており、上場会社が従来どおりの対応(現行の上場会社の実務においては、新株券の交付日を効力発生日としています。)を継続した場合、依然として現行同様の実務日程により株式分割が行われることとなります。このような対応の余地を残すこととなれば、各上場会社の判断により取扱いの異なる株式分割が併存することとなり、証券会社や名義書換代理人等における事務作業が極めて煩雑となることに加え、投資者の混乱を招くことも懸念されます。
そこで、株式分割実施時の株券の円滑な流通と公正な価格形成の確保の観点から、株式分割に係る基準日の翌日を株式分割の効力発生日とするよう上場会社に義務付けるなど上場制度の整備を行うこととします。
また、株式分割に係る新株式の効力発生日までに要する期間が短縮されることで、新株式の効力発生までの価格変動リスクのヘッジ手段としての発行日決済取引の必要性が低下することから、株式分割により発行される新株券の発行日決済取引を廃止することとします。
なお、本年3月7日に公表した「大幅な株式分割実施についてのお願い」につきましては、今回の対応の実施後においても、引き続き上場会社に対して御留意をお願いしてまいります。