5月2日、マンション企画、販売代理、不動産流動化のセイクレスト【ジャスダック:8900】が、大阪地裁へ自己破産を申請し、同日破産手続き開始決定を受けたと発表しました。
負債は約22億8200万円です。
これを受け、ジャスダックを運営する大阪証券取引所は、セイクレスト株を2011年5月20日付で上場廃止にすると発表しました。
(民事再生法や会社更生法を申請した場合の倒産だと、倒産から上場廃止になるのに1ヶ月程度の期間があります。破産の場合、破産から2週間程度で上場廃止になります。)
以下、企業信用調査で有名な帝国データバンクのウェブサイトからの抜粋です。
2011/05/02(月) マンション企画、販売代理、不動産流動化
ジャスダック上場
株式会社セイクレスト
破産手続き開始決定受ける
負債22億8200万円TDB企業コード:581478405
「大阪」 (株)セイクレスト(資本金20億8903万5000円、大阪市中央区備後町3-2-8、代表青木勝稔氏、従業員52名)は、5月2日に大阪地裁へ自己破産を申請し、同日、破産手続き開始決定を受けた。~~~中略~~~
2007年1月にインサイダー取引事件で従業員が逮捕され信用が失墜するなか、サブプライムローン問題が発生し業界環境が悪化。支店統廃合や希望退職者募集等のリストラ策を講じたが、2009年3月期には債務超過に陥っていた。このため、不動産の現物出資などで資本を増強し、2010年3月期中には債務超過を解消していた。
しかし、その後も業況の本格的な回復には至らず、2010年3月に現物出資により取得した不動産も期待どおりに販売が進まず、4月28日には、過去に振出した小切手、約束手形の振り出しについて、代表取締役らと取締役2名と監査役3名らの間の考え方に相違があり、取締役2名と監査役3名らが辞任したことを公表。4月28日期日の約束手形の決済資金の準備が叶わず、今回の措置となった。
さて、私は上場企業が倒産すると、必ず会社四季報を見ることにしています。「会社四季報で倒産した企業のページを見ること」を何回も繰り返していくうちに、どういった財務内容の企業が危ないのか感覚的に判ってくるからです。
四季報でセイクレストの「2011年3月期の中間決算」を見るに、セイクレストは総資産27.29億円に対して、自己資本(株主持分)が14.66億円となっています。これは問題ありません。
有利子負債は9.3億円です。これも問題ありません。
しかし、利益剰余金は-23.89億円となっています。これは大幅なマイナスで非常に悪い数字です。利益剰余金が大幅にマイナスになっているのは、倒産する会社にありがちです。
営業キャッシュフローは2010年3月期の本決算で-5.28億円となっています。これは悪い数字です。また、同時期の投資キャッシュフローは-3900万円となっていました。
そして、同時期の財務キャッシュフローは+5.56億円となっています。
またセイクレストは「2011年度の第3四半期決算」の発表を遅延しており、継続企業の前提に関する重要な疑義が付いていました。
やはり、「継続企業の前提に関する重要な疑義」が付いている銘柄は、買わない方が無難でしょう。
セイクレスト株は、「2011年3月期の中間決算」が出た時点ですでに、「買ってはいけない銘柄」になっていたといえます。
なお、2011年度の上場企業の倒産は、下記のようになっています。
▼2011年度 倒産上場企業の一覧
会社名 | 証券取引所と証券コード | 倒産の形態 | 倒産時の負債 | 倒産の日付 (2011年) |
上場廃止日 (2011年) |
中小企業信用機構 | ジャスダック:8489】 | 民事再生 | 90億300万円 | 1月25日 | 2月26日 |
セイクレスト | ジャスダック:8900】 | 破産申請 | 22億8200万円 | 5月2日 | 5月20日 |
今年に入っての上場企業の倒産は、中小企業信用機構に続き、セイクレストが2社目です。
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