2019年1月17日、「ラスク・フランス」で有名な洋菓子メーカーのシベール【ジャスダック:2228】が山形地裁へ民事再生法の適用を申請し、同地裁に受理されました。
いわゆる倒産です。
負債は約19億6200万円となっています。
これを受け、東京証券取引所は、シベール株を2019年2月18日付で上場廃止にすると発表しました。
以下、企業信用調査で有名な帝国データバンクのウェブサイトからの抜粋です。
~~~
倒産速報記事
2019/01/17(木)
洋菓子・パン製造、同小売、レストラン経営
JASDAQ上場、東北では「ラスクフランス」で有名
民事再生法の適用を申請
TDB企業コード:160091313
負債19億6200万円
「山形」 (株)シベール(資本金4億8,835万5,000円、山形市蔵王松ケ丘2-1-3、代表黒木誠司氏、従業員167名)は、1月17日に山形地裁へ民事再生法の適用を申請した。
~~中略~~
ピークとなる2008年(平成20年)8月期には年売上高約44億5300万円を計上していた。
しかし、主力の「ラスクフランス」に競合商品が出現したことや、「ラスクフランス」に代わるヒット商品が生み出せなかったことから、売り上げは次第に減少。売上ダウンに対して人件費の削減が進まず、2016年(平成28年)8月期から3期連続での赤字を余儀なくされていた。
今期に入っても採算性の改善が進まないなか、2019年(平成31年)1月の借入金返済のメドが立たなかったことから自力での再建を断念、今般の措置となった。
~~以上、帝国データバンクのウェブサイトからの抜粋~~
さて、私は上場企業が倒産すると、必ずその企業の会社四季報と決算短信を見ることにしています。「会社四季報で倒産した企業のページを見ること」を何度も繰り返していくうちに、どういった財務内容の企業が危ないのか感覚的に分かってくるからです。
四季報でシベールの「2018年8月期の本決算」を見るに、シベールは総資産が28億円あります。自己資本(純資産)は8.6億円となっており、自己資本比率は30.5%となっています。この数値は食品メーカーとしては優れた数字とはいえませんが、激しく悪い数字でもありません。自己資本比率を見ただけでは倒産は予測できなかったでしょう。
有利子負債は16億円となっており、それなりに大きい金額ですが、総資産との比率を考慮するとメーカーとしては致命的ではないでしょう。
利益剰余金は6.7億円となっています。利益剰余金がプラスになっていますし、ここまで見てきた数値で倒産を予測するのは難しいと思われます。しかし、下記のキャッシュフローの数値などを見ていくと、暗雲が漂ってきます。
四季報に載っている2018年8月期の本決算でのキャッシュフローの数字は、下記のようになっています。
シベールのキャッシュフロー
|
|
-4400万円
|
|
+5100万円
|
|
-8800万円
|
|
現金など
|
8500万円
|
営業キッシュフローは-4400万円となっており、よくない数値です。本業でお金を稼げていません。
投資キャッシュフローは+5100万円となっており、財務キャッシュフローは-8800万円となっていますが、これらは問題がある数字ではありません。
どちらかというと、売上高が26億円以上ある企業にも関わらず、手持ちの現金が8500万円しかないのが気になります。
また、四季報で確認できるだけでも、2016年8月期から2018年8月期までずっと赤字決算を続けており、これは重大事です。3期連続で赤字になっていれば「倒産してもやむなし」というところです。3期連続赤字決算の末に倒産した上場企業を、私はこれまでたくさん見てきました。
私は四季報で過去の決算を見て、「シベール社は手持ちの現金が少なくなっていたのに赤字が続き、さらなる資金流出の末、資金繰りに行き詰まり倒産に至った」という印象を受けました。
日頃から、四季報や、シベールが発表した決算短信に目を通していた個人投資家は、3期連続赤字であることに気付いていたと思われるので、今回のシベールの倒産を避けることができたでしょう。
▼関連記事
- 循環取引とは 【株式用語解説】
- 会社四季報速報とは
- 会社四季報速報を無料で読むことができる証券会社
- 日経テレコン21を無料で利用できる証券会社
- 日経会社情報を無料で読むことができる証券会社
- 会社四季報とは (株式用語解説)
- 会社四季報を無料で読むことができる証券会社
- ロイター・ニュースとは
- 株式新聞速報ニュースを無料で読むことが出来る証券会社
▼関連カテゴリ