6月17日、バイオ技術開発の タカラバイオ 【マザーズ:4974】の株価が前日比+40,000円 (+14.76%)の終値311,000円と急騰しました。ストップ高です。
6月16日に、タカラバイオが「マツタケの人工栽培に向けて、マツタケ本体に育つ前段階のマツタケ子実体原基を発生させる培養技術を確立した」と発表したことが株価材料となりました。
以下、タカラバイオの発表文からの抜粋です。
マツタケ子実体原基を発生させる培養技術を確立しました
タカラバイオ株式会社(社長:加藤郁之進)バイオ研究所は、マツタケのゲノムを2004年秋に解読後、マツタケ人工栽培法の開発研究を行ってまいりましたが、このほどマツタケ子実体原基を発生させる培養技術を確立でき、マツタケ子実体形成まで、あと一歩の段階に到達しました。用いた菌糸は京都丹波産のマツタケ6種類由来です。
通常広く行われている上面接種法と反対の接種法、下面接種法(図1)と常識外れの高濃度の糖成分培地を組み合わせた結果、マツタケ子実体原基発生に成功しました。
タカラバイオグループはブナシメジの人工栽培を日本で初めて成功させた後、ハタケシメジ、ホンシメジなどの高級シメジ類の大量人工培養法を次々と確立してきました。
マツタケは、ホンシメジと同様に、植物の根に寄生し栄養のやりとりを行っている菌根菌で、人工栽培条件の設定が非常に困難です。マツタケ人工栽培法の研究は世界各国で何十年もの間続けられてきており、これまでに、マツタケの子実体を形成させたという報告は2,3例ありますが、それ以降の進捗報告はありません。キノコ類を菌糸体の状態で人工培養することは容易ですが、単に菌糸体(写真1)を培養しても子実体を形成するわけではありません。通常、菌糸体は諸条件が満たされて初めて、子実体の基になる子実体原基を発生し、この原基を経由して子実体の形成へと進みます(写真2)。
マツタケ子実体を形成させるための菌糸培養条件を、下面接種法を用いて種々検討しました。我々が発見した特定の複数培養条件では、培地表面に半球状あるいは球状菌糸塊を形成し、それらの大きさは直径1cm以上に達しました(写真3,4,5)。これらの菌糸塊が形成される前に、周囲の菌糸が白色から黄色に変色すること、同じ菌根菌であるホンシメジでも子実体原基形成の前に、周囲の菌糸が白色から黄色に変色することから(写真6)、これらの菌糸がマツタケ子実体原基である可能性が高く、これを遺伝子的に検討しました。シイタケで、発生した子実体原基にはシイタケのpriAとよばれる遺伝子が大量に発現していることが知られています。そこで、マツタケpriA遺伝子の発現量を調べたところ菌糸体と比較して半球状の菌糸塊ではその発現量が20倍以上に上昇しており、子実体原基であることを確認しました(図2)。
これらの発見により、当社のマツタケ人工栽培の研究は新しい段階へと移行することになります。当社は、これまでにマツタケと同じ菌根菌であるホンシメジの人工栽培にも成功しています。ホンシメジとマツタケとは種々の共通点があり、ホンシメジが子実体原基から子実体へと変化する際に発現する遺伝子群の変化を手掛かりにして、人工栽培マツタケの商業化を目指します。
当資料取り扱い上の注意点
資料中の当社の現在の計画、見通し、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の業績に関する見通しであり、これらは現時点において入手可能な情報から得られた当社経営陣の判断に基づくものですが、重大なリスクや不確実性を含んでいる情報から得られた多くの仮定および考えに基づきなされたものであります。実際の業績は、さまざまな要素によりこれら予測とは大きく異なる結果となり得ることをご承知おきください。実際の業績に影響を与える要素には、経済情勢、特に消費動向、為替レートの変動、法律・行政制度の変化、競合会社の価格・製品戦略による圧力、当社の既存製品および新製品の販売力の低下、生産中断、当社の知的所有権に対する侵害、急速な技術革新、重大な訴訟における不利な判決等がありますが、業績に影響を与える要素はこれらに限定されるものではありません。
<参考資料>
【語句説明】
子実体
いわゆる「きのこ」のことです。マツタケやシメジ類においては傘と柄の部分をもった菌糸の集合体です。子実体原基
キノコ類においては生長した菌糸から子実体(キノコ)が発生しますが、発生の初期に生長菌糸のある部位において菌糸が旺盛に増殖し、周囲の菌糸とは異質の菌糸の集団を形成します。その菌糸集団が傘や柄を形成するまでを子実体原基といいます。上面接種法
上層と下層よりなるキノコ培地を使用するマツタケの栽培方法において、菌糸培養物を上層に用いる接種方法です。下面接種法
上層と下層よりなるキノコ培地を使用するマツタケの栽培方法において、菌糸培養物を下面に用いる接種方法です。菌根菌
植物の根に寄生して生長する菌類です。マツタケやホンシメジなどが該当します。栽培が困難なものが多い。菌糸、菌糸魂
キノコ類、カビ類等の細胞は分裂しても繋がったまま糸状に伸長していきます。その糸状の細胞集団を菌糸といいます。菌糸の1本1本は肉眼でかろうじて見える程度の太さです。菌糸が集まって種々の形態を形成したものを菌糸塊といいます。priA遺伝子
シイタケの(菌糸から子実体が発生する初期の段階で形成される)子実体原基において、顕著に発現される遺伝子です。子実体原基形成前の菌糸における発現は子実体原基における発現に比べてかなり少ない。
マツタケ子実体原基を培養できるようなったといっても、すぐに食用可能なマツタケ栽培ができるようになるわけではありません。しかし、個人投資家はバイオ技術開発企業の新技術開発ニュースへの反応が早いので、今日の株高に繋がりました。
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