- PTS [読み:ピーティーエス]
- PTSの同義語=Proprietary Trading System(プロプライエタリ トレーディング システム)
- PTSの同義語=私設取引システム、私設取引市場
祐作:先輩、PTSってなんですか?
兜:ふむ、PTSとは、私設取引システム(proprietary trading system)の略称だな。証券取引所ではなく、証券会社が開設したコンピューター・ネットワーク上の市場での取引のことだ。
祐作:はあ、証券取引所以外でもコンピューターネットワークを通じた取引が存在するんですね。
兜:そうだな。日本においては、日本版金融ビッグバンの1998年12月の法令改正により、市場間競争により投資家の利便性が向上されることを目的として「取引所集中義務の撤廃」等の規制緩和が実施され、証券会社による取引所外取引を電子的に行う「私設取引システム(PTS)」業務が認められた。
ちなみに、金融先進国である米国においては、ATS(Alternative Trading System)もしくはECN(Electronic Communications Network)と呼ばれるPTSが1960年代に立ち上げられた。2012年3月のアメリカのPTSにおける取引量は市場全体の30%を超えるといわれている。
祐作:さすがに金融大国のアメリカは進んでますね。
兜:そうだな。で、日本だけど、2004年金融庁で、個人投資家の証券市場への参加を促す証券市場の構造改革が推進され、取引所と同等の競売買(オークション)による価格決定方式を認める法律改正案を国会に提出、成立し、2005年4月に法が施行されたんだ。この法改正により、PTSが取引所と競争かつ補完し共に成長していくインフラが整備された。
祐作:ところで、日本にはどれくらいPTSがあるんですか?
兜:
一時は国内に7社あったPTSだけれど、今はSBIホールディングス系列のSBIジャパンネクスト証券と
野村ホールディングス傘下のチャイエックス・ジャパンしか残っていない。
チャイエックスのPTSは基本的に法人しか参加できず、個人投資家は参加できない。対して、SBIジャパンネクスト証券が運営するジャパンネクストPTSは、個人投資家が取引に参加できる。SBI証券で証券取引口座を開設すればジャパンネクストPTSで株取引ができる。
祐作:野村證券系とSBIホールディングス系の2社しか残っていないんですか。なんでそんなに少なくなったんでしょう。
兜:
辞めた5社はPTS部門の運営が赤字だったから撤退したんだ。 なぜ赤字だったかというと、規制の影響が大きいといわれている。2012年9月まで、PTSで企業の5%を超える株式を保有する場合、株式公開買い付け(TOB)を実施しなければいけないというルールがあった。
機関投資家から見ると、このルールがあったせいで、PTSでの大量の株式買い付けが行いづらく、使い勝手が悪かった。 そのため、2012年まではPTSが流行しなかった。
しかし、このルールは2012年10月になくなったため、2013年になってジャパンネクストPTSにおける株の売買代金は増加している。
↓関連リンク
PTSに規制緩和の風 2012年10月にも5%ルール除外 活性化期待 – SankeiBiz(サンケイビズ)