株取引の手数料の安さと、信用取引の金利の安さに定評があるむさし証券さんに私・兜達也がインタビューしました。
取材の時期は2017年3月で、インタビューに応えてくれたのは、むさし証券インターネット事業部・課長の内田寛氏です。
内田寛氏
証券アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)、ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)、むさし証券インターネット事業部・課長
以下、インタビューです。
--初めまして、クローズアップ株式を運営している兜達也です。今日は御社のオンライン株取引サービスのトレジャーネットについてお話を伺いたいと思っています。よろしくお願いします。
内田 よろしくお願いします。
▼株取引の手数料の安さについて
--個人投資家向けの株取引サービスであるトレジャーネットですが、どんな方針で運営していますか?
内田 現物株取引や信用取引にかかるコストを低く抑えることで、株式投資へのハードルを下げ、個人投資家を増やしたいという想いで運営しています。
--私は自分が運営しているサイトで「ネット証券 手数料比較表」を作っているんですが、たしかに他社と比較しても、むさし証券さんは株取引の手数料が安いですね。どうやって、手数料を安くしているのでしょう?
内田 まず、大手証券会社の様に多種多様な金融商品を取り扱ってはいません。日本株、日経225先物・オプション、投資信託の提供に特化しています。その代わり、株取引の手数料や信用取引の金利を低く抑えることが可能となっています。
--なるほど、コストを下げることを思い切って選択したわけですね。
▼信用取引の金利が安いことによるメリット
--信用取引の金利が年率1.35%と非常に低いのですが、そのメリットを詳しく解説してもらってもいいですか?
内田 信用取引を中長期で行うと、金利でコストが劇的に変わってきます。
オンライン証券業界における大手5社の中で一番金利が安い会社は、制度信用取引の買い方金利を年率2.80%に設定しています。この金利と むさし証券の金利でどれくらい差が付くか試算してみましょう。500万円の買い建玉を保有したケースです↓
建玉の保有日数 |
年率1.35%で発生する金利 (むさし証券の金利) |
年率2.80%で発生する金利 |
1日 |
184円
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383円
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30日 |
5547円
|
11506円 |
90日 |
16643円
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34520円
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180日 |
33287円
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69041円
|
--デイトレードだと200円ほどしか差がありませんが、制度信用取引で買った株を半年保有すると、3万円以上の差がついていますね。
内田 金利が2倍くらい違いますから、保有期間が長いと大きな影響が出てくるわけです。個人投資家の皆様は信用取引の手数料はよくお調べになっているのですが、金利の重要性にも注目していただきたいと思っています。
日計りが中心だから金利は気にしないというデイトレーダーもいますが、制度信用は日計りでも1日分の金利がかかります。つまり、1日に何回転もすればその分金利がかかっています。ものすごく見逃されている大事なポイントです。
--なるほど。
内田 1.35%という制度信用取引の買い方金利は、個人投資家の皆様にとって、かなりメリットがある数値だと思っています。長期で買い建玉を保有すれば、配当金のおかげで、ほとんど金利のコストがかからないからです。
ーーといいますと?
内田 2017年3月現在の東証1部全銘柄の配当利回りの平均値は年率1.62%となっています。権利取最終日から権利落ち日にかけて信用取引の建玉を持ち越すと配当落調整金がもらえるので、そのお金で当社の信用取引の金利をほぼまかなうことが可能です。
--なるほど、配当金を毎年出している会社で、配当利回りが年率1.6%を超える銘柄なら、買い建玉を長期で保有しても金利のコストはそれほど気にしなくてもいいということですね。
内田 「金利」は信用取引を利用する投資家にとって、それがデイトレードであれ、長期投資であれ、非常に大事なポイントになります。
▼情報ツールのT-NAVIについて
--個人投資家の取引コストを下げるために、他に工夫していることはありますか?
内田 パソコン用にインストールする形式のトレーディングツールやスマートフォン用の株取引アプリの提供は行っていません。その代わりにInternet ExplorerやChromeといったブラウザで動くT-NAVIという無料の情報ツールの提供を行っています。
T-NAVIはどなたでも分かりやすい操作で、様々な市況情報、投資判断ツールを利用することができ、リアルタイムで100銘柄までのポートフォリオ管理が可能になっています。
T-NAVIはブラウザで動くため、パソコンだけでなくiPhoneやAndroidのスマートフォンでも利用可能です。
--そうですか、パソコンやスマホにインストールするタイプのソフトではないのですね。T-NAVIではどうやって株を注文するんでしょうか?
内田 パソコンの場合、基本的にT-NAVIと注文画面の二つのウィンドウを開いて注文される方が多いです。T-NAVIでリアルタイムの株価を見ながら、もう一つのウィンドウの注文画面で発注をするというスタイルです。
▼画像左「注文画面」 画像右「T-NAVIの画面」
--ではスマートフォンの場合は、どういった注文の流れになりますか?
内田 スマートフォンの場合は、先にT-NAVIの画面を立ち上げ、そこで株価を確認します。その株価の画面の上部に「株式売買」というボタンがあるのですが、そこをタップすれば株式売買注文画面にジャンプすることが可能です。
--なるほど、アプリをインストールしなくても、口座にログインしてT-NAVIを起動すればリアルタイム株価を確認しながら株の売買ができるわけですね。
内田 はい、そうです。アプリ形式でないことにはメリットもありまして、アプリではないのでT-NAVIは基本的にお客様によるソフトのアップデートは必要ありません。株取引用アプリだと、定期的にお客様によるソフトの更新が必要ですよね。
--そういわれてみると、そうですね。私は10社以上の証券取引口座を開設しているので、しょっちゅう株取引アプリのアップデート通知が来ています。
内田 また、T-NAVIはブラウザでアクセスする形式なので、パソコンとスマートフォンで、お客様が作った株価リスト(個別の銘柄の株価一覧)を共有できます。
-- なるほど、株取引用のアプリを採用している証券会社だと、たまにパソコンとスマートフォン用のアプリで株価リストが共有できないことがありますが、そのような不便さはないわけですか。
内田 そういうことです。
▼インタビューを終えての感想
むさし証券のトレジャーネットは「株取引にかかるコストを低く抑えることで、株式投資へのハードルを下げ、個人投資家を増やしたい」という非常に明確な方針で運営されています。
昔からオンライン証券業界の中でも株取引のコストが安い証券会社でしたが、2016年11月に株取引の手数料を一部値下げしたことで、より価格競争力が強まりました。
また、株取引の手数料が安いだけでなく、下記の提携銀行から、ネットバンク入金を使えば、証券取引口座へのお金の振込の際の手数料が無料となります。ネットバンク入金はトレジャーネットの管理画面より行います。
金融機関名 | サービス名 |
三菱東京UFJ銀行 | 三菱東京UFJダイレクト |
三井住友銀行 | ウェブ振込サービス |
りそな銀行 | りそなダイレクト |
埼玉りそな銀行 | りそなダイレクト |
ジャパンネット銀行 | リンク決済 |
楽天銀行 | 楽天銀行かんたん決済プラス |
住信SBIネット銀行 | 即時決済サービス |
イオン銀行 | イオン銀行ダイレクト |
近畿大阪銀行 | 近畿大阪ダイレクト |
ゆうちょ銀行 | WEB連動振替決済サービ |
「株取引の手数料が安い、信用取引の金利が安い、手数料無料入金サービスがある」といった条件がそろっているので、むさし証券はコストに敏感な個人投資家の注目を集めているのでしょう。
▼参考資料 むさし証券の株取引の手数料
(むさし証券のウェブサイトからの抜粋。現物株取引も信用取引も同じ手数料体系)
1回での注文の約定金額 | 税抜き手数料 |
10万円まで |
75円
|
10万円超~20万円まで |
95円
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20万円超~50万円まで |
175円
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50万円超~100万円まで |
320円
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100万円超~150万円まで |
380円
|
150万円超~300万円まで |
440円
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300万円超~600万円まで |
750円
|
600万円超~900万円まで |
1,320円
|
900万円超~1,200万円まで |
1,760円
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1,200万円超~1,500万円まで |
2,200円
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1,500万円超~1,800万円まで |
2,640円
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1,800万円超~2,100万円まで |
3,080円
|
2,100万円超~3億円まで |
3,520円
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