4月30日、大阪証券取引所 【ヘラクレス:8697】の株価が前日比+16,000 (+2.92%)の終値564,000円と上昇しました。
昨日、ジャスダック証券取引所の社外取締役である渡辺達郎氏が、取締役の選任議案を決める指名委員会の委員を辞任したとのニュースが流れました。渡辺氏はジャスダックと大阪証券取引所との統合に強く反対しており、今回の委員交代が今後の統合に向けた流れを加速する可能性があります。
大証とジャスダックの経営統合が現実味を帯びてきたことが株価に好影響を与えました。以下、共同通信の記事からの抜粋です。
ジャスダック証券取引所が、大阪証券取引所との統合に反対している藤原隆会長と社外取締役の渡辺達郎・日本証券業協会副会長を退任させる方向で最終調整に入ったことが29日、明らかになった。
6月10日の定時株主総会に新たな経営体制を提案する見通し。2人はいずれも金融庁出身。反対派の交代によって統合問題の混乱を収拾し、大証との協議を加速する。
野村証券出身の筒井高志社長は大証との統合を推進する考えを持っている。
ジャスダックの2008年3月期決算ですが、新興市場の低迷による手数料の減少や、売買システム変更に伴う特別損失の計上などにより、経常損益が前期の27億4000万円の黒字から6800万円の赤字に転落しました。
収益力の立て直しには、最大の固定経費である取引システム費用の大幅な引き下げが不可欠で、大証とのシステム統合の必要性が増しています。
しかし、藤原隆会長と渡辺達郎社外取締役は、大証とジャスダックの経営統合に反対していました。私は、なぜ経営が悪化していくのを知りながら、藤原隆会長が経営統合に反対するのか疑問でしたが、共同通信の記事を読み、反対の理由に気づきました。
共同通信の記事によると、藤原隆会長と渡辺達郎社外取締役は金融庁出身です。ジャスダックは金融庁の天下り先だったわけです。
大証とジャスダックが経営統合すれば天下りのポストが減るわけで、統合に反対していたのも納得です。
さて、藤原隆会長と渡辺達郎社外取締役は辞任となったので、おそらく大証とジャスダックは将来的に経営統合するでしょう。経営統合すれば、両市場の取引システムが共通化され、結果、取引手数料が引き下げられます。これは個人投資家にとってもメリットのあることです。