2月12日、複数の建設会社を傘下に持つグレース 【大証2部:4790】が会社更生も民事再生も申請せず、いきなり自己破産を申請しました。これにより、通常は1カ月の整理銘柄指定を経て上場廃止されるところ、グレースは2月27日に上場廃止となることが決定しています。2008年の上場企業の倒産はグレースが初めてです。
・参考リンク 帝国データバンク 持ち株会社
大証2部
株式会社グレース
破産手続き開始決定受ける
負債35億2700万円
破産申請の影響により、本日、グレースの株価は前日比-30円 (-68.18%)の終値14円と暴落しました。ストップ安です。
上場廃止が決定した銘柄でも会社更生や民事再生を申請した企業ならば、事業が継続する可能性もあるので思惑買いが入ることもあります。しかし、破産申請は事業を清算してしまうということですから、今日は思惑買いが入りませんでした。
ところで、私は上場企業が倒産すると、必ず会社四季報を見ることにしています。「会社四季報で倒産した企業のページを見ること」を何回も繰り返していくうちに、どういった財務内容の企業が危ないのか感覚的に判ってくるからです。
ただ、今回のグレースの倒産を事前に見抜くのはやや難易度が高かったと思います。四季報でグレースの悪い部分がすぐに目に付いたのは、利益剰余金がマイナスな点と営業キャッシュフローが-16億7000万円と大幅にマイナスな点です。ただ、2007年12月期の数字だけ見ていたのでは、倒産することがわからないと思います。
同社の営業キャッシュフローは、2005年12月期が15億8000万円の赤字で2006年12月期が12億9000万円の赤字です。つまり、直近の3年間において本業で現金が出ていっています。これに気づいた人は危険を回避できたでしょう。
また、同社が設立から10年程度しか経っていないのにM&A(企業間の合併と買収)を繰り返していたこともリスクを高めていました。若い企業がM&Aで事業を急拡大しすぎたゆえに、傘下の企業のコントールができなくなり業績が悪化する事例は後をたちません。
M&Aによる急激な事業拡大を行い今でも利益を出せている新興企業といえば、ぱっと思いつくのは楽天くらいです。
ちなみに、ダイヤモンドzaiという雑誌の「最新理論株価&倒産確率データシート」というコーナーに倒産確率が高い銘柄をリストアップした記事があります。ZAi最新号の2008年3月号では、グレースの倒産確率は8.7%となっていました。個人的に、この倒産確率データシートで倒産確率が3%以上になっている会社の株は買わないようにしています。
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