10月21日に、ライブドアがカタログ通販会社のセシールの買収(TOB)を発表しましたね。今年の9月末まで、インターネット通信販売の仕事をしていた私の思うところ書いてみます。
■あんまりうまみのない買収だと思う
ライブドアとしては、今回の買収でネット通販のビジネスを拡大し、ライブドアデパートを楽天市場に追いつかせたいということです。
しかし、そのために通信販売事業者を買収するのは、あまり美味しくないと思います。なぜか?
通販ってインターネットを使って効率的にやれば儲かりそうに見えますけど、しょせん小売りの一形態なんですよ。商品の在庫と倉庫を持たないといけません。在庫を持つと、「在庫の管理業務」と「商品が売れないときの在庫リスク」が発生します。こうなるとなかなか利益率が高い商売をすることは難しい。
楽天が儲かっているのは、楽天市場というショッピングモールを運営しているから儲かっているのであって、ネット通販の店を自分で運営しているから儲かっているわけではないのです(楽天ブックスは例外)。
楽天市場のシステムの提供は「サービス業」であり、「小売り業」ではないので利益率の高い商売ができているわけです。楽天市場の運営には在庫リスクはありませんから。
ヤフーもYahoo!ショッピングを運営して儲けていますが、そこに自社の店舗はありません。
小売業というのはあまり高い利益率を望むことはできない業種であり、そこに資金を投じるよりは、ライブドアが得意とする情報産業や金融業に投資をした方がよかったんではないかと私は考えます。
■参考
ライブドアとライブドアマーケティングは10月21日、カタログ通販大手のセシールを買収すると発表した。
買収にあたっては、まず、ライブドアマーケティングが、セシールの発行済株式数の25.73%を、筆頭株主の資産管理会社であるアジア物産から103億8200万円ですべて取得。さらに、TOB(株式公開買付)を行い、セシールの普通株式24.4%以上を買付ける予定。公開買付期間は10月24日から11月15日の23日間で、買付価格は1株1000円。これはセシール株式の東証での過去3か月の終値平均940.8円に約6.3%のプレミアムを加えた金額に相当する。TOBが成立すると、ライブドアマーケティングによるセシール株式の持ち株比率は50.13%となり、セシールを傘下におさめることになる。
BCNランキング ■ライブドア、セシールを買収、セシール社員「冗談かと思った」より