7月24日、マンション工事が主力の中堅ゼネコン三平建設(株) 【JASDAQ:1908】 が民事再生法の適用を東京地裁に申請したと発表しました。負債総額は負債総額は約167億7400万円です。
これを受け、ジャスダック証券取引所は同社株を8月25日付で上場廃止にすると発表しました。
また、倒産の報道の影響により、7月25日、三平建設の株価は前日比-2,000円(-18.85%)の終値8,610円まで下落しました。ストップ安です。
以下、帝国データバンクのウェブサイトからの抜粋です。
総合建設業者
JASDAQ上場
三平建設株式会社
民事再生法の適用を申請
負債167億7400万円TDB企業コード:983292637
「東京」 ジャスダック上場の中堅ゼネコン、三平建設(株)(資本金16億2588万8594円、台東区元浅草1-1-1、代表井上義幸氏、従業員179名)は、7月24日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。
~~~中略~~~
しかし、主力であるマンション工事の受注は大手ゼネコンの参入などから競争が激化、建築単価引下げ圧力が強まり、利益確保のため選別受注に努めたことなど年売上高は、2000年3月期の約637億5300万円から2008年3月期には約320億3100万円にまで落ち込んでいた。
この間、2007年後半頃から、米国のサブプライムローンに端を発する世界的な金融不安などの影響から不動産・建設業界を取り巻く環境は急激に厳しくなった。
こうしたなか、7月に(株)ケイ・エス・シー(負債約108億円、東京都、破産)に約6億円、(株)興大(負債約55億円、東京都、破産)に対し約14億2600万円の不良債権が発生。7月末の支払いのメドが立たず今回の事態となった。
さて、私は上場企業が倒産すると、必ず会社四季報を見ることにしています。「会社四季報で倒産した企業のページを見ること」を何回も繰り返していくうちに、どういった財務内容の企業が危ないのか感覚的に判ってくるからです。
三平建設は、ぱっと見た感じでは、株主持分と利益剰余金が少ない部分が目に付きますね。その他は、際立って悪い数字はないように感じました。
しかし、総資産が170億円に対して株主持分が17億円しかないということで、自己資本比率が低く倒産してもおかしくはないバランスシートになっていたとは思います。といっても四季報だけ見てすぐに倒産が予想できたかといえば、私には無理だったでしょう。
さて、今年は下記の要因で、建設業界や不動産業界が不況に突入しています。
- 米サブプライム住宅ローン問題に端を発した、金融機関の融資の厳格化
- 地価の下落
- 不動産バブルで値上がりしたマンションが、バブルがはじけたせいで高値では売れなくなった
- 建設資材の値上がり
今年は、金融機関の不動産関連企業に対する融資が慎重になっているため、資金繰りに行き詰る会社が増加しています。「あれ、この程度のバランスシートでも倒産するの」という感じの倒産事例が増えてきました。
今年は、もし不動産関連企業に投資する場合、四季報だけでなく必ず財務諸表に目を通すべき年になったようです。
なお、今年倒産した上場企業は、下記の11社です。
- グレース ※
- レイコフ ※
- ニイウスコー
- アリサカ
- トスコ
- スルガコーポレーション ※
- 真柄建設 ※
- エー・エス・アイ(株) (旧・(株)アスキーソリューションズ
- キョーエイ産業 ※
- ゼファー ※
- 三平建設※
※をつけた会社が不動産関連企業です。