12月3日、関東財務局が、外為証拠金取引業の日本ファースト証券に対して、すべての業務について6カ月間の業務停止命令を出しました。同社は、顧客から預かった保証金を他の顧客の保証金に流用するなど金融商品取引法に違反していたほか、自己資本比率も100%を割れるなど健全性にも問題があることが報告書で明らかになりました。
業務停止期間は12月4日から2008年6月3日までです。関東財務局によると、日本ファースト証券は特定の顧客との外為証拠金取引を継続するために、この顧客の保証金が不足した際、他の顧客の保証金を充当するなど分別管理をしていませんでした。さらに、顧客への立て替え金を自己資本に計上し、自己資本比率を水増していることが明らかになっています。同社は自己資本比率を146.2%と申告していたが、実態は100%を切っているとのこと。
日本ファースト証券のウェブサイトでは、分別管理について下記の記述があります。
■外国為替証拠金取引
金融先物取引法第91条に基づき、お客様からお預りしました証拠金は、自己の固有財産と区分して管理をしております。
と書いていても、実際は分別管理されていなかったことになります。こういった不誠実な会社があるので、個人投資家がFXの会社を選ぶのは難しい。
FXの取引会社を選ぶ際は、基本的には上場企業で財務内容がしっかりしている会社を選んだ方が無難です。
以下、関東財務局の発表文からの抜粋です。
平成19年12月3日 関東財務局
日本ファースト証券株式会社に対する行政処分について
日本ファースト証券株式会社 (以下 「当社」という。)に対して、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。以下「法」という。)第56条の2第1項の規定に基づき報告を求めたこと等により、以下の事実が認められた。
上記報告によれば、当社は、顧客から預託を受けた証拠金をその他の保証金等について、預託不足となっている顧客に店頭デリバティブ取引を継続させ他の顧客から預託を受けた保証金等を流用しているなど自己の固有財産と区分しておらず、法第43条の3の規定に基づく管理を行っていないと認められる。
また、法第46条の6第1項の規定に基づき当局に届け出ている自己資本規制比率及び同条第3項の規定に基づき公衆の縦覧に供している「自己資本規制比率を記載した書面」について、自己資本規制比率の算定において、顧客の立替金を控除資産として計上せずに自己資本比率を算出しており、事実と異なる比率を届出及び記載している。
以上のことについては、法第52条第1項第6号に該当すると認められている。
さらに、正確な自己資本規制比率を算定したところ、100%を下回っており、このような当社の状況は、法第53条第2項に該当すると認められる。
以上のことから、本日、当社に対し下記の行政処分を行った。
記
1・法第52 条第1 項第6 号及び法第53 条第2 項に基づく業務停止命令
平成19 年12 月4 日から平成20 年6 月3 日までの間、全店舗における全ての金融商品取引業務の停止を命じる。
ただし、顧客の決済取引等当局が認めたものを除く。
2・法第51 条の規定に基づく業務改善命令
(1)顧客から預託を受けた保証金等の正確な把握を行い、不足額を速やかに解消する事。
(2)顧客資産の保全を最優先とし、会社財産の不当な費消を行わない事
(3)自己資本規制比率の改善計画を策定する事
(4)顧客に対して今回の行政処分の内容を周知するとともに適切な対応を行う事
(5)法令遵守に関する内部管理体制の強化を図るとともに、法令違反の根絶に向けた再発防
止策を策定し、役職員に周知徹底する事。
(6)今般の法令違反行為の責任の所在を明確化する事