松井証券 が来春を目処に夜間取引に参入すると発表しました。以下、松井証券のウェブサイトからの抜粋です。
2006年07月28日
夜間取引の参入について
〜約定と受渡が同時の即時決済取引(日本初)を導入予定〜
松井証券株式会社 代表取締役社長 松井 道夫松井証券は、来春を目処に、夜間取引に参入いたします。松井証券が開設するPTS(私設取引システム)(※1)において競売買(オークション)方式により行うものとし、約定と受渡が同時となる即時決済取引の導入を予定しております(※2)。これは日本初の試みです。また、売買審査等のコンプライアンス体制については、株式会社東京証券取引所(以下、東京証券取引所と呼びます)に必要に応じて協力を依頼いたします。
現在の取引所の普通取引は、約定から受渡までに3日間のタイムラグがあります。ここ数年で個人投資家層は拡大してはいますが、未だその絶対数が国民の一部にとどまっている原因の一つは、通常の商慣習からは異質である、このタイムラグです。実際の諸ルールおよび事務を複雑なものにしているだけでなく、個人投資家に「株式投資はなんとなく特別なもの」という心理的な距離を与えているのです。
「約定、即、受渡」とすることで、例えば、株券を売却した後すぐにその代金を手元に引き出すことや、その代金を使ってネットショッピング等を楽しむことも可能となります。それにより株券と現金を隔てる壁は低いものとなり、投資は、個人にとってより身近なものとなると考えております。また、競売買によるPTSでは、投資家保護上、公正な価格の形成が課題であり、売買審査を始めとしたコンプライアンス体制の強化は欠かせません。松井証券では、夜間取引を開始するにあたって、東京証券取引所の協力を得て、万全のコンプライアンス体制を構築する所存です。
松井証券は、今後も個人投資家の利益に資するサービスの拡充に努めてまいります。
以上
【現在予定している内容】
・受渡(決済) 0秒(約定と同時)
・価格決定方法 競売買(オークション)による方法
・取引時間 夜間(具体的な時間帯は未定)
・取扱有価証券 取引所に上場する株式のうち、当社が選定した株式
・取引の種類 現物取引(信用取引は今後検討)
・対象顧客 松井証券に口座を保有している顧客(※1) 松井証券では、PTSの開設にあたり、内閣総理大臣に対して「証券会社の私設取引システム運営業務の認可」を申請する予定です。
(※2) 松井証券では、即時決済システムに関する特許を出願中です。
−本件に関するお問い合わせはこちらまで−
TEL 03-5216-0617
これは革新的な取り組みです。ただ夜間取引に参入するだけでなく受渡(決済)を約定と同時にするという点が画期的です。
(受け渡し・・・株の買い手は買い付け代金を、売り手は株券を差し出すこと。)
「松井証券のPTS(私設取引システム)」の説明の前に、「既存の証券取引所」のシステムをみてみましょう↓
既存の証券取引所(東証など):株式の場合、受渡しは、約定後、約定日を入れて4営業日後に行われる。それゆえに下記の面倒さがあります。
1・株を売っても口座から現金をすぐに引き出すことができない。
2・配当権利日がわかりにくい←例えば3月31日に決算の会社があったとして、3月31日に株を買っても配当はもらえない。受け渡しに時間がかかるため、株主権利確定日の4営業日前が「権利付き最終買売日」となる。「権利付き最終買売日」までに株を買わないと配当がもらえない。
3・デイトレードに制限がある・・・現物株の差金決済は禁止されているため、日計り取引に制限がある。同じ資金で一日のうちに同一銘柄を「買付→売却→買付」や「売却→買付→売却」することはできない。
「1」について:松井証券の私設取引システムの場合、「株券を売却した後すぐにその代金を手元に引き出すことや、その代金を使ってネットショッピング等を楽しむことも可能となります」と同社のウェブサイトではっきりと述べられています。
「2」について:私の推測ですが、受け渡しが「即時」ということは配当の権利も即時に移行するようになるかもしれません。しかし、こちらは松井証券のウェブサイトでは触れられていませんね。株券の名義の書き換えが即時にできるのか否かがキーポイントとなりそうです。
「3」について:既存の取引所ではデイトレードで同一銘柄を無限に取引することができないのが難点になっています。なぜかというと同一銘柄の回転売買は差金決済に当たるからです。
以下、[マネー用語集]All About 差金決済より差金決済とは、現金の受け渡しをせずに反対売買の差金のみで決済すること。
株式投資において、差金決済は法律で禁じられている。例えば、100万円の資金を証券会社に入金した状態で、ある日90万円の株を買い90万円で売ったとする。そして、もう一度同じ銘柄を90万円で買って90万円で売ったとする。この時には、3営業日後の受け渡し日に180万円の買い付け代金が必要になる。100万円では足りないので、80万円を追加入金する必要がある。一方で、同じ受け渡し日に売却代金180万円も得られることになる。しかし、この売却代金で相殺しようとして80万円の不足金を入れないと、これが差金決済とみなされて法律違反となるのだ。ただし、異なる銘柄で売買を繰り返すことは、差金決済に該当しないと解釈されることになっている。
差金決済が禁止されている上に、株を売ってできたお金が現実に自分のところに来るのにタイムラグがあるため、同一銘柄の自由な回転売買ができないわけです。
松井証券の私設取引システムでは、株を売ってできたお金がすぐに手元に来るわけですから、自由な回転売買ができるのではないかと期待してしまいます。しかし、これも松井証券のウェブサイトでは触れられていませんね。
▼今回の松井証券の発表について
1998年にインターネット取引を開始して以来、先駆的な取り組みで業界のリーディングカンパニーを自負していた松井証券ですが、無期限信用取引の導入以降、革新性が薄れていたように思います。
しかし、今回の「約定、即、受渡」という発表は、業界に一石を投じることになるでしょう。
業界内で商売がうまいのはイートレード証券かもしれませんが、パイオニアという意味ではやはり松井証券かと思わされる発表でした。
松井証券の松井道夫社長は、「約定、即、受渡」という問題提起をしたかったから、SBIイートレード&楽天連合の夜間取引システムに加わらず、自前の取引システム構築の道を選んだのでしょう。
▼関連リンク
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